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残酷!音楽怪獣プログレ

しがないプログレ好きで、よく中古盤を漁っています。ときどきライブなんぞにも行っておりやす。

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森園勝敏「スピリッツ」


81年作。78~82年の元・四人囃子の森園勝敏(Vo,g)のエレクトリック・バード・レーベルに残した5枚のソロ・アルバム、全て廉価版にて再発の快挙。フュージョン・ギタリスト時代と言えば良いのか、それでも少しプログレっぽい『バッド・アニマ』、LAのミュージシャンをバックにした『クール・アレイ』、名曲『キャデラック・キッド』を含む『エスケープ』、四人囃子『レディ・ヴァイオレッタ』を含む再録音ベスト盤の趣きのある『ジャスト・ナウ・アンド・ゼン』とどれも必聴盤だが、特に評価が高いのが4枚目のコレ。ポップで軽やか、日本人離れしたジャジーなセンスに憂いのない強固なアレンジ、さりげなく全英語詩の歌詞。所謂「捨て曲」の無いアルバムに仕上がっており、日本フュージョン史に残る傑作だろう。やや籠もり気味?のリマスターだが、音質も良い。
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ザ・ムーディー・ブルース「ザ・マグニフィセント・ムーディーズ/50周年記念エディション」


14年発表。64年発売のムーディー・ブルースのファースト、50周年記念盤(!)が発売。2枚組で、アルバムのリマスター版に63~66年のシングル曲、デモ・セッション、ラジオ・セッション物等全力で追加。過去に似た様な商品は出ているが、エソテリック社特有の丁寧なモノラル・リマスタリングで、音質は群を抜いている。後にポール・マッカートニー&ウイングスに加盟するデニー・レイン(Vo,g)がリーダーの時代で、当然内容は典型的な60,sのイングリッシュ・ビート・バンド、『ゴー・ナウ』の全英ヒットを飛ばすがその後はシングル・ヒットに恵まれず、レインは脱退、より透明感のあるヴォーカルのジャスティン・ヘイワード(Vo,g)がオーディションにて加入、デッカのステレオLP普及の為の企画、オーケストラとロック・バンドの融合『サテンの夜』に乗る事になり、プログレ史上最初期の大名盤がここに誕生する。その前夜の姿、人生何処でどう転ぶか判らないと云うお話し。

ジ・オーストラリアン・ピンク・フロイド・ショウ「エクリプスド・バイ・ザ・ムーン」


14年作。ジ・オーストラリアン・ピンク・フロイド・ショウは巨大なライブ会場でフロイドの特殊効果まで含めた、「ライブ」を再現するプロジェクト。バンドと云うよりイベント集団と呼ぶべきか、しかし本家の不在が故に各国での公演は好評、本場英国の名門、ハマースミス・アポロ劇場でも大好評で迎えられている。最早ロック・バンドと云うより、『マンマ・ミーア!』とかのミュージカルとかオペラの公演に近いが、これは3枚目の彼らの最新ライブ盤。2枚組でDisc-1は『狂気』完全再現ライブ+『エコーズ』。Disc-2は『鬱』『対』『ザ・ウォール』からの各楽曲での構成。全て完璧にコントロールされており、逆説的に現在のフロイドの文化的立ち位置が判るバンドだが、『エコーズ』だけは70年前期のフロイドが演奏した物以外は全て腰が座ってないライブに聴こえる。何故だろう?

サイモン・ボスウェル「ハードウェア」


90年作。リチャード・スタンレー監督のデビュー作のサントラ、リマスター版で再発。近未来社会の高層マンションでヒト型アンドロイドの回路が暴走、外界から隔離された迷路となった檻から殺人アンドロイドの追求をかわし無事脱出出来るのか?『ターミネーター』ミーツ『13金』の趣きで、『ブレードランナー』同様に独特の未来社会のヴィジョンに熱烈なファンも多く、日本でもアニメ『砂ぼうず』等に影響を与えている。公開時のサントラは劇中で使用されたPILの歌や俳優の台詞を被せたバージョンだったが、今回はボスウェルの楽曲のみの選曲で完全版の2枚組。すっきりしててこちらの方が良いですね。スタンレー監督は次作『ダスト・デビル』で「自殺願望者を残忍に殺す悪魔」の出て来る異様なホラー世界を構築、日本で初めてR15になった映画で、こちらもカルト的ファンが多く音楽もまたもやボスウェル担当。次回発売はこれかな。

サイモン・ボスウェル「アクエリアス」


86年作。サイモン・ボスウェルは『フェノミナ』の追加楽曲でデビューしたプログ系の作曲家、80年代らしいデジタル・ビートを多用した四つ打ちのBGMで、当時やや落ち目であったゴブリンに対抗したがその後メインのフィールドの「ホラー映画」自体が衰退し、現在ではむしろポピュラー音楽の作曲家としての顔の方が有名かも。これはミケーレ・ソアヴィ監督のデビュー作のサントラ、久々にリマスター版で再発。深夜の小劇団の舞台稽古に、元名優の「梟仮面」の殺人鬼が乱入。彼の狂った頭で考える究極の「殺人舞台」とは?ありふれたスラッシャー映画の設定でありながら、スタイリッシュな映像ときびきびしたテンポでストーリーが進む「13金」フォロワー映画の快作。昔は様々な理由から、オリジナルの楽曲を国内のミュージシャンが演奏した「擬似サントラ」が発売されたが、これも公開時にはイメージ・ソングを含んだカヴァー・バージョンが発売。その後音の悪いイタリア盤のオリジナル・サントラが発売され、今回ようやく音質の良いオリジナル盤となった。待ってみるもんだね(笑)。

アンディ・ジャクソン「シグナル・トゥ・ノイズ」


14年作。ピンク・フロイドのエンジニア、アンディ・ジャクソンのファースト・ソロ、『永遠』に便乗してか同時期の発売。最も、83年の『ファイナル・カット』から担当してるから意外と年寄りだ。内容は当然フロイド寄りの「サイケデリック・アンビエント(アド文より)」、全曲ヴォーカルも含めて全楽器を一人で担当、ビリー・シャーウッドらと同じ様に宅録系の匂いが。楽曲は『鬱』以降のフロイドに影響を受けたプログ・バンド、つまりRPWLやモストリー・オータムの諸作を思わせる感じで、新味は無いけど悪くはない。裏版『永遠』と呼ばれるには通俗的過ぎるし、第二のアラン・パーソンズと言われる様になるかは何とも言えませぬ。フロイドのマニアがコレクターズ・アイテムとして買う分には良いかもね。(俺か(笑))。

ヤン・アッカーマン「流浪の神殿」


73年作。元フォーカスのヤン・アッカーマン(g)のサード・ソロ、ジャズ畑の「フュージョンBESTコレクション1000」の1000円廉価版名作シリーズに登場。割りと売れたのか、以降の作品の『寛ぎの時』『エリ』も同じフォーマットで近々に発売される。ティム・ボガード(b)、カーマイン・アピス(ds)のBBA組参加、の割りにはフォーカスの反動か、中性の古典音楽、賛美歌、アイルランド系のトラッド等のレパートリーで固め非常にクラシカルな仕上がり。フォーカスの『王の館』1曲のみファンサービスで付け加えている。かつては日本でもクラプトンやリッチー・ブラックモアと並ぶ人気ギタリストだったアッカーマン(本当だって(笑)。)以降はフォーカスも脱退し、「本式」の音楽に憧れ、ロックのフィールドから離れていったのが現在の知名度の要因か。名盤ではありますな。

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