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残酷!音楽怪獣プログレ

しがないプログレ好きで、よく中古盤を漁っています。ときどきライブなんぞにも行っておりやす。

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ボブ・ダウンズ「ソングス・フォー・マザー・アース」


97年作。ボブ・ダウンズ(flute,Sax)は60年代にはオーセンティックなジャズ・フィールドで活躍していた英国ミュージシャンだが、70年代初期の英国ロック界の波を被り、ジャズ・ロック畢竟の名盤『エレクトリック・シティ』を発表、しかし大手レーベルの体質が肌に合わず個人レーベル(!)を創始、翌年にはこれも大名盤『オープン・ミュージック』を発表。以降、色々あってドイツに移住、現在もジャズ、ロック、アンビエント、バレエ音楽(!)等、ジャンル分けを物ともせずに活躍中の大物である。(現在までの関連アルバムは73枚!)数年前に彼は過去作の権利を買い戻し、自社レーベルからかなりの数のアルバムを再発、その中の一枚がコレ。美しい自然の風景、風雅さをテーマとしており、甘美なフルートの調べに乘せて美しいメロディーが奏でられる。本人歌唱のフォーク調のヴォーカル曲も良く、ジャズで在りながら優れたアンビエント作品でもある代物。推奨の一枚です。
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ジョン・カーペンター「ロスト・テーマズ」


15年作。ご存知ホラー映画監督の巨匠ジョン・カーペンターの、初のソロ・アルバム(!)。カーペンターは自作に自ら音楽を付ける事が多いが、これはこれ迄に没になった音楽を本人自ら再演奏したもの、と但し書きが付いている。カーペンターのキーボード・ワークにバンド形式でギター、ベース、ドラムスが絡むので、方向性としては『ゴーストハンターズ』『ゴースト・オン・マーズ』辺りに近い。カーペンターの作る曲は童謡的な判りやすいメロディを持ち、過去作ではこの人の映画のトレード・マークの一つになっているが、今回のアルバムもそれは変わらず、一聴直ぐにそれと判る「カーペンター節」を全面にフィーチャー。「タンジェリン・ドリームみたい」と海外のファンからも言われているが、タンジェリンもサントラ仕事は多く、両者ともそれだけ映像的な作品である、と言う事なのだろう。2010年の『ザ・ウォード/監禁病棟』以来監督作も無く、暇々してそうなカーペンター監督御年67歳、この辺でミュージシャンとして来日して初ライブ、とか演ってくれると面白いのだけど・・・?

ケネディ「トライアングル・モーション」


15年作。元DADAの泉陸奥彦(Key,Synth)率いるシンセサイザー・ユニットのケネディ、まさかの29年振りのサード・アルバム。泉陸奥彦氏は現在ゲーム・ミュージックの作曲家、プロデューサーとして大物であり、四人囃子等と同じく現在の音楽業界で功成り遂げての再結成となる。アルバムの楽曲ではDADA時代の『アルルの太陽』『アメリカ』の再演バージョン、ケネディの1stから『トゥインクリング・ナサ』等、これ迄の活動を総括するかの様な選曲。良い具合に熟成しており、新メンバーのギター・ワーク、変拍子リズムが旧作よりも強調され、まるで初期のU.K、ブラフォードの作品の様。これがケネディの現在進行形と言う事なのだろう。初回盤はライブ・テイク2曲のミニ・CD-R付き。今年の国内のプログ・ロック・アルバムとしては、ゲスの極み乙女『魅力が凄いよ』と一二を争う傑作?再結成ライブにも是非期待したい!(あとセカンドの初CD化も・・)

エイジア「ザ・メイキング・オブ・エイジア』


14年発表。これもブートレグです。1st『詠時感~時への浪漫』時の流出セッションと、ジョン・ペイン時のエイジアFJPのデモ・セッションを纏めたもの。やはり目玉は81年のトレヴァー・ラヴィン在籍時の音源。ギターが明らかにラヴィン節の『ヒア・カム・ザ・フィーリング』、リード・ヴォーカルがラヴィン、ギターがハウでもラヴィンでも無い(?)『時への浪漫』の2曲。この編成から考えると、現在巷間で伝えられる『ウエットンとハウが意気投合して・・」と云うエイジアの誕生ストーリーは多少ショービズ的なもので、最初はマネージャーのブライアン・レーン、手の空いてるプログレ人脈を色々組み合わせて試して見たのではないか。もっともラヴィンのヴォーカルは同時期に在籍のバンド、ウルフ期の印象に酷似しており、透明感はあるがウエットンの様な「取っ掛かり」が無くこれだとあんなには売れなかったろう。アルバム後半はエイジアFJPの『天空のアリア』~『オーラ』時の音質の悪いデモ・テイク、イジス・エイブラハム(g)のツアー用のリハーサル・セッションが少々。こちらはそれ程レアなものは無く、更なる発掘を期待したい所です。

ピンク・フロイド「対&永遠・アウトテイクス」


14年発表。ブートレグです。『対』と新譜『永遠』のアウトテイクス集、早速発売。この手の流出アウトテイクス曲には昔から無茶苦茶ガードが固いフロイドだが、今回『永遠』自体が『対』時の94年の未発表セッションを公式で加工した作品であるので、実質は『対』の流出セッションとして昔からブートレグで出ていた未発表曲を『永遠』も軸としてコンパイルし直したブツとなる。『永遠』関連は『アロンス-Y』『アニシナ』『TBS14』『エブリカ』に再編集された原曲セッションが12曲、『対』関連は2番の歌詞が違う『ウェアリング・ザ・インサイド・アウト』、若干タイムの長い『クラスター・ワン』『孤立』、フランスのみプロモ・シングルとなったこれも若干長めの『テイク・イット・バック』、『永遠』では未使用のセッション曲が2曲、オマケで『PULSE」時ツアーのライブ・リハーサル『マネー』。この辺が公式で将来発表される可能性は天文学的に低い訳で、フロイド・フリークは持っていて損はない一枚。

ソフト・マシーン「スイスランド 1974」


15年発表。『収束』期のマシーン、74年のスイス・モントルー・ジャズ・フェスのライブ盤が登場。DVDの映像付きで2枚組。ブートレグで昔から出ていた内容ではあるけど、丁寧なリマスタリングで定評のあるキュニフォーム・レーベルから音質を「きちんと洗って」商品化。アラン・ホールズワース(g)在籍時としては、公式では『フローティング・ワールド・ライブ』に続いて2枚目のライブ盤となる。聴きどころはやはり花形役者として迎えられたホールズワースの超絶技巧的ギター・ワークが冴える『ハザード・プロファイル』、唯一のオリジナル・メンバーとなってしまったマイク・ラトリッジ(Key,Org)のファズを掛けたオルガン・ワーク(最早唯一のマシーンとしての看板?)、それと現在もソフト・マシーン・レガシーで継続中のジョン・マーシャル(ds)のカール・パーマー張りのドラム・ソロ。この後リーダーを引き継ぐカール・ジェンキンス(Sax,flute)はまだ裏方に徹して大人しい。キュニフォーム社のマシーンの発掘盤はハズレが無いが、今回も期待を裏切らない出来。レガシーが間もなく来るので来日公演記念盤?

キング・クリムゾン「ライブ・アット・オーフェウム」


15年発表。新生クリムゾンの一作目は、14年米国ツアーのライブ盤。なんだが・・現在ツアー中で手の内を余り見せられないのか、時間にして40数分、極めて不満の残る「アブリッジド」な内容。少なくとも3人ドラム+21センチュリー・シゾイド・バンドからのリクルート組、で何をやろうとしているかがこのライブ盤からは見えて来ない。その辺はライブに足を運んで確かめてね、と云う事なんだろうけど、商品としては疑問が残る内容。これは前回のクリムゾン・プロジェクト扱いのスタジオ盤『ア・スケシティ・オブ・ミラクル』にも言える事だが、予告編としては納得出来るんだけど、本編は?と云う感じ。ファンとしても、これで現在のクリムゾンが何処に行こうとしているか、見えない部分が非常に不安に感じる出来。こう云う売り方、どうかなぁ。それでも楽曲は『アイランド』から始まり初の旧曲目白押しツアー、『レターズ』なんかGG&Fの頃から演奏してるから50年近くライブで演ってるんだよなぁ。来日公演まで判断保留?

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プログレは楽しい。プログレは、音楽ジャンルではなく、新たな人生の思考法だ(=^・・^=)

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