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残酷!音楽怪獣プログレ

しがないプログレ好きで、よく中古盤を漁っています。ときどきライブなんぞにも行っておりやす。

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タンジェリン・ドリーム「スーパーノーマル~ジ・オーストラリアン・コンサート2014」


15年発表。かくしてこれがエドガー・フローゼ、生前最後のライブ。14年11月のオーストラリア・ツアーと言う事だから、まさに急死に近かったのではないだろうか。タンジェリンとしては4人編成、バンドとしては近年ツアー毎に編成は異なっており、今回は最小編成で出かけて行った事になる。1~2枚目はコンサート完全収録、セットリストは『リコシェ』『ロゴス』『エクジット』『ポーランド』等の70年代の名曲群と、『ガール・オン・ザ・ステアーズ』『シナモン・ロード』『クール・シブヤ』等の80年代の楽曲、それに近年の最新曲が違和感無く混ざり合い、いつもの通りの安定した出来。3枚目は『恐怖の報酬』ライブの再演。これがもう聽けなくなるのは、やはり言葉にしがたいものがある。前作同様、豪華なツアー・パンフ付き。多分このパターンで以降もライブ盤にはパンフレットを付けるつもりだったのだろう。恐らく追悼盤は今後出て来るのだろうけど、遺作としては最後のライブ、涙無くして聽けません(;_;)。
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タンジェリン・ドリーム「ブースターⅦ」


15年発表。タンジェリンの年鑑ベスト盤、7枚目も発表。公式アナウンスに拠れば、フローゼの逝去によりこれがシリーズ最終作となる模様。毎回その年に発表したアルバムのベスト楽曲+新曲の構成だが、今回の新曲はかなり多くて10曲。『タマゴヤキ2015』『エルサレムへの巡礼者』『ディナミック・スー(ニート・ミックス)』『ザ・ライト・コーン2015』『ポーラー・ラディウス』『ハート・スロッブ』『ア・マター・オブ・タイム(レッド・キャニオン・リミックス)』『シルバー・アイス・レイク』『モーニング・サン』『ル・コンバット・デ・エピーズ(ディレクターズ・カット)』ふう・・・。発売日を延期し、当初フローゼが考えていた構成より、新曲を増やしての発売らしい。フローゼ在籍時のタンジェリン、最後の年の輝きの集大成、これも敬意を表して聴くべきだろう。

タンジェリン・ドリーム「マラ・クニア」


14年作。タンジェリン・ドリームの総帥、エドガー・フローゼ(g,Key,Synth)が今年1月に亡くなった。享年71歳。突然の逝去で、まだまだ活躍して欲しかったが・・・。今後のバンドは息子のジェロームが継続していくのか、未だ公式の発表はないが、遺作としてはオムニバス盤1枚、ライブ盤3枚組、そしてこのカップディスク・シリーズが1枚。従来の意味でのシングル盤に近いシリーズだが、30~40分の楽曲が収録されておる事も多く、アナログ時代なら充分LPとして発表されていたレベルのもの。今回は14年のオーストラリア・ツアーからインプロヴィゼーションを抜粋したもので、次項で紹介するライブ盤の予告編的な製品。しかし、同じ曲はあるがバージョンのダブリは無く、これはこれで別物として聴ける。フローゼ生前最後のインプロヴィゼーション・ライブの第一弾、プログ・ファンは溟濛して聴くべし。

チェイス「追跡~ギリシャの神々~復活」


71~74年作。英ブラス・ロックの雄、チェイスの1st~3rdの合本版CDが再発。ウディ・ハーマン楽団に在籍したビル・チェイス(tp)が創設したバンドで、『黒い炎』(1stに収録)等のヒット曲があるが、74年にリーダーのチェイスを含む4人が飛行機事故で不慮の死を遂げ、バンドは自然消滅の憂き目に合ってしまう。9人編成のブラス・バンドで、うちトランペットが4人、分厚いペット音が迫って来るアレンジが心地良く聴こえます。プログ・ファン的には2ndの『ギリシャの神々』が秀逸。タイトル通りのコンセプト・アルバムで、ラストの表題曲はプログ・ロック史上に残る名曲。現行CDは1枚ずつのリマスター盤も出ているが、音質に拘りが無ければ1枚の値段より安価に3枚聴けるこの廉価盤、コスト・パフォーマンスも良くお薦めです。

ホウクローズ「センサード」


15年作。ホークウインド第一の別働隊、ホウクローズ。通算だと4枚目のスタジオ盤が登場。本来このバンドは78年にリーダーのデイブ・ブロックがホークウインドを解散させ、テクノ・ニューウエイブの時代に対応する音楽性のバンドとして始まり、スタジオ盤+ライブ盤を一枚ずつ発表した時点で色々あってオリジナルのホークウインドが復活、バンドとしてのホウクローズは封印されたかに見えた・・が、12年に突然復活。ブロックはメンバーに入っておらず、基本的には元ホークスの旧メンバーが入れ替わり立ち代わり新譜を発表する時のブランド名、とまぁ歴史の長いホークスの、互助会的な別物のバンドとなっている。今回のメンバーはハーヴェイ・バーンブリッジ(Key,Synth)、デイブ・ピアース(ds)、エイドリアン・ショウ(b)他の面々。当然音楽性は現在のホークスと殆ど変わらず、事実上「ホークウインド2号店」と化している。しかし、ちゃんと1年に1枚ずつスタジオ盤が出ているなぁ。このまま10年位続くのかね?

ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団「プレイズ・プログ・ロック・クラシックス」


15年作。クレオパトラ・レーベルのプログレ・トリビュート・シリーズ、今年は意外な所から責めて来た。アビーロード・スタジオでのロイヤル・フィル録音によるプログレ・クラシック・ナンバー集。そんなの今までに山ほど出てるよ、と言うなかれ。従来この手の企画はバンド演奏がメインにキーボード・パートの代役でオーケストラと言うか、イージー・リスニング乗りでストリングスが絡むみたいな企画が多かったが、今回は電子楽器は最小限に止め、主役はちゃんと譜面化されたオーケストラ演奏。従来盤とは、逆の仕上がりなんである。1曲目はやはり『タルカス』。吉松隆の譜面化は、国内外でもかなりの影響を与えている。他にもジェネシス、イエス、クリムゾン等の楽曲が目白押し。パトリック・モラーツ(p)、ガスリー・ゴーヴァン(g)等のゲストはいるが最小限に留められ、主役はあくまでもオーケストラ。モルゴーア・クァルテットとも「プログレ復興」の意味では同じ方向性なので、是非この楽曲での国内公演も期待したい一枚。

スパイ「スパイ」


80年作。米カンサスと同じマネージメントとメンバー編成、「カンサスの弟分」としてデビューしたスパイの唯一のアルバム、以上。いや、ここで終わっても意味ないのだが、実は本当にそれ以上でもそれ以下でもないのである。酷似した楽曲、ヴァイオリンはカンサスと同様、英国バンドとは異なりカントリー、ブルーグラスの影響下にある。ミックスがやや本家とは異なり、ヴォーカルを前面に出した構造、さらっと聴けるがよく聴くと背景ではかなりテクニカルな演奏をしており、所謂「スルメ盤」を狙ったものと思われれる・・が、ここまで。コピー・バンドではないのだから、やはりもう一つ何らかの違った個性が欲しい所。ファーストはカンサスと近似値の音楽性で名前を覚えて貰い、セカンドから本気出すつもりだったのかも知れないが、その辺も含めて残念な感じがする。レア盤。

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