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残酷!音楽怪獣プログレ

しがないプログレ好きで、よく中古盤を漁っています。ときどきライブなんぞにも行っておりやす。

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ピンク・フロイド「ナッソー・コロシアム1988」


15年発表。ブートレグです。4枚組の大作。『鬱』期のワールド・ツアー、NYナッソー・コロシアムでの88年8月20日のライブのノーカット収録盤、及び8月21日の第一部のみをサウンドボード収録。つまり公式ライブ盤『光』の完全版として聴ける秀逸なCD。元々は関係者流出音源としてブートも複数出ていたが、今回は従来盤にあった『マネー』『時のない世界』等の欠落箇所を別音源から編集して補い、音質も現在のシャープな輪郭にリマスタリングした労作。唯一『虚空のスキャット』のヴォーカルのみ従来盤と同様録音されていないが、逆に言うと瑕疵部分はそこだけ。『鬱』期のフロイドのブートレグは、この一作だけあれば充分である。『対』期ツアーのサウンドボード音源としてもイタリアの『ライブ・イン・トリノ』がブートで出ているが、次回はこちらのリマスター版も期待したいものです。
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リチャード・アインホーン「ゲシュタポナチ死霊軍団・カリブゾンビ」


76年作。とうとうこんなものまでサントラCD化。邦題は幾つかあるが、ビデオ発売時のもので。(国内未DVD化)クルーザーが座礁した若者グループは謎の無人島に漂流。そこではP・カッシング扮する元ナチの科学者が、水中でも行動出来る改造人間、「死なない兵士」を研究していた・・・厳密にはゾンビではないんだけど、海中から立ち現れる改造人間兵士の不気味なデザインが秀逸、監督はケン・ヴィーダーホン、カーペンターの某作をパクった『他人の眼』、『バタリアン2』、エルム街の悪夢のTVシリーズ『フレディの悪夢』等、傑作とは言い難いがまぁそこそこ面白いホラー映画を連作していたお方。サントラは30数分だが前衛音楽と70年代クラウト・ロックを足して2で割った様な独特の音楽世界を描き出している。このハウリン・ウルフ社は他にも『聖し血の夜』とかすごくマイナーな映画のサントラを発売、一体何処からマスター・テープを見つけて来るのかしらん?

ランダム・ディーズ「ワン・ラウンド・ゼロ」


08年作。フロイドの影響を受けたバンド、はそれこそ星の数ほどあるが、歌詞やコンセプトの面での影響が多く、純粋に「音」をリスペクトするバンドは意外に多くない。『鬱』期のフロイドの発展系、RPWL等がそこそこ有名だが、このランダム・ディーズもその数少ない一つ。フロイドの全時代に渡って「音」を研究した後が見られ、『エコーズ』から『アス・アンド・ゼム』、『ラン・ライク・ヘル』に酷似したフレーズがそこかしこ、ヴォーカルの歌唱法も『モア』辺りのギルモアをリスペクト、映画『砂丘』の没テイク、『バイオレント・シーケンス』から影響を受けた曲も。イエス、クリムゾン辺りはやりやすい部分もあるのか、各国で割りとフォロワー・バンドもあるのだが、フロイドの音楽の「手触り」を再現しているバンドは少なく、割りと貴重である。ただマイナー・バンドには違いなく、廃盤も早いかも・・・。

ローデリウス「コレクション02~エレクトリック・ミュージック」


14年発表。ローデリウスは60年代からの独・エレクトリック・ミュージックの重鎮、彼の80歳(!)の誕生日を祝し、ベスト盤が発売された。彼の作品数はタンジェリン・ドリーム、クラウス・シュルツ、コンラッド・シュニッツラー同様膨大であり、過去に3枚組のオールタイム・ベストが発表された事はあったが、音楽性の変遷もありなかなかベスト盤の作りにくいアーティストではあった。今回はやはり電子音楽系の中堅どころのアーティスト、ロイド・コールが監修し、8枚のアルバムから抜粋をして編集、『セルフポートレート』シリーズ等パーソナルな趣きの作品が多く、その色彩でアルバムを統一している。元々はシュトックハウゼン系統の現代音楽(クラシック)の作曲家だけあり、旋律は華美で美しいが通俗に落ちず、あくまでシンフォニックで品があるのが特徴。やや前衛が過ぎる作品も多いが、ビギナーのプログ・ファンはこのベスト盤か、ブライアン・イーノとのコラボ作辺りから試聴して見るのがお奨めです。

リック・ウェイクマン「ジ・オスカー・コンサート」


03年発表。00年のウェイクマンの英国ソロ・ツアー、コルビー地区での出来事。マネージメントの手違いでライブの告知が間に合わず、だだっ広いホールに観客は僅か10人程度、しかもその一つに座っているのはオバちゃんが連れて来たテリア犬のオスカー君。ブチ切れたウェイクマン、「今日はオスカー君、君の為のコンサートだ!」かくしてプログレ史上に残る悪ノリ・わんわんライブがここに発動!コンセプトは「犬」。『アーサー王』等の過去曲の合間に演奏されるのは『クラシカル・ドギー・イン・ウインドウ』等のわんわん関連曲。曲の合間にはしつこく繰り返される「犬」テーマの漫談、少し苦しいものもあるが流石我が国のさだまさし同様、ライブ漫談だけのCDを出しているだけあってノリは英国の綾小路きみまろか。わわわのわんっ!わざわざこんなん商品化してしまう辺りはジョーク好きのウェイクマンの度量の広さと取るか、商売の上手さと取るかは個人の自由にお任せします。珍盤。

スペース・リーチュアル「アザー・ワールド」


07年作。ホークウインドのメンバーの関連アルバムは、殆ど98%オリジナルのホークスと近似値の音楽性、スペース・サイケデリック・ロック。後はテクノっぽいかメタルっぽいか位の差しか無く、もう面倒臭いから「ホークウインド3号店」とか「ホークウインド・ロンドン支店」みたいに解りやすく同名で纏めて見たらどうか。或る意味ハズレが無いとも言えるが・・・。70年代の傑作ライブ『宇宙の祭典』の原題がバンド名になっているこの作品は、旧メンバーのニック・ターナー(Sax)とホークスとアモン・デュール(UK)の元メンバー、デイブ・アンダーソン(Vo,g)が中心となって結成されたもの。しかしその内容は期待を裏切らず、SF作家マイケル・ムアコックの書いたナレーションを中心に『宇宙の祭典』ライクな壮大なシンフォニック・ロックを展開。ホークウインド・ファン、70年代サイケデリック・ロック・ファンなら納得出来るものとなっている。バンドは「ニック・ターナーズ・スペース・リーチュアル」として現在もライブ活動等を継続中。

ロバート・ダウニー・Jr「フューチャリスト」


04年作。『アイアンマン』『シャーロック・ホームズ』等の人気俳優、ロバート・ダウニーJrのファースト・ソロ・アルバム。これ以前にミュージカルに主演とかもしているが、ヴォーカルは上手くはないが「味がある」レベル。ところがこの作品のプロデュースがイエス『結晶』の問題の男、ジョナサン・エイリアス。サントラとかも手掛けていたのでそちらからの縁だと思われるが、アルバムの端々に『結晶』の残響音が屢々。ミックスが全体的にABWHに酷似、スティーブ・ハウの「影武者」ジミー・ハーン(g)も参加。おまけに『アイブ・シーン~』の前半部こと『心の愛』まで歌っており、ジョン・アンダーソン(Vo)がコーラスで参加、ライブで歌っていた形態でラストはジョン・レノンの『平和を我等に』が掛かるバージョン。ジャズっぽい曲なんかはややスティングっぽいが、そう言う訳でイエス・マニアには隠れたレア盤?何かウイリアム・シャトナーのアルバムみたいに、俳優系のソロ・アルバムにはプログ系の人たちが参加する事が多いっすね。

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プログレは楽しい。プログレは、音楽ジャンルではなく、新たな人生の思考法だ(=^・・^=)

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