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残酷!音楽怪獣プログレ

しがないプログレ好きで、よく中古盤を漁っています。ときどきライブなんぞにも行っておりやす。

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ホークウインド「ディス・イス・ユア・キャプテン・スピーキング」


15年発表。ホークスのパーロフォン(EMI)在籍時、70~79年の廉価版全部入りBOXが発売。11枚組で3,000円弱と低価格。スタジオ盤は、まずはファーストの『ホークウインド』続いて『宇宙の探求』『ドレミファソラシド』『永劫の宮殿』。ライブ盤はご存知『宇宙遊泳』幻の『ロンドンの熱い嵐・グリッシーズ・トラッカーズ・パーティー』のホークウインドの演奏だけの全長版、『1999パーティー』、ボーナス・ディスクで有って当然『ザ・シングルズ』。スタジオ盤は最新リマスター版でボートラ無し、しかし『宇宙遊泳』はオリジナル・ミックス、『1999~』はリマスター無し。『ザ・シングルズ』は収録時間の関係でこの時期のシングル・ミックス、全曲収録は成らず。と云う訳で、マニア的な視点から見ればこれはこれで買いで、旧盤もボートラやミックス違いがあるので中古で売れない、とまぁいつもの月刊ホークウインド増刊号(笑)。それでも初期ホークスの音源を纏めて聴けるのは有難い。来日もするしね、予習用?
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クリストファー・フランケ「マクベイン+ターザンと失われた都」


91年作。(写真は旧盤)前項オレンジ・レーベルから、元タンジェリン・ドリームのクリストファー・フランケのサントラ作品のカップリング盤も発売。フランケはタンジェリンのサントラ仕事時代に米国に移住、バンドの仕事を引き継ぐ形で様々な映画のサウンドトラックを担当した。しかし、タンジェリンはまぁまぁの大作も手掛けていたが、フランケはB級アクション、ファンタジー系映画の路線まっしぐら。独立したら多少の汚れも引き受けないと食えないもんねぇ。(変わった所で日本のアニメ『天地無用!』の音楽も担当)まずはジェームズ・グリッケンハウス監督の『マクベイン』。『エクスタミネーター』『プロテクター』の監督で主演はクリストファー・ウォーケン、ベトナムのグリーンベレー時代の仲間たちが戦友の復讐のため、コロンビアの麻薬密売組織に殴りこみ、その悪役がマイケル・アイアンサイド、とまで言えば80~90年代のB級映画ファンは大体どんな作品か判るだろう。それに日本未公開のキャスパー・ヴァン・ディーン主演『ターザンと失われた都』をカップリング。フランケの楽曲はタンジェリンとは異なり、キーボード等の電子楽器でオーケストラを再現するもので、より精緻でスピーディーなデジタル機器を使用したハンス・ジマー等にやがて取って代わられるのも、時代の衰勢か。

タンジェリン・ドリーム「メトロポリス」


15年発表。ビデオ全盛時代には、無声映画にニューエイジ系のミュージシャンが新たに音楽を付けて新装発売する事がよくあった。リック・ウェイクマンの『オペラ座の怪人』なんかはこのパターンのアルバム化。『メトロポリス』も84年のジョルジオ・モロダー版の再編集映画が有名だが、何とタンジェリン・ドリームもビデオ時代に音楽を付けている。このビデオ、タンジェリンの公式サイトにも掲載されておらず、制作年度が判らない。その楽曲を数年前に、やはりタンジェリンの幻のサントラ『レジェンド』を再発したオレンジ・レーベルが今年アルバムとして発売。一聴してファンが気付くのは、タイトルこそ違え8割以上の曲が別アルバムからの再利用と云う事。(演奏やミックスは異なる)。サントラ『SFザ・ウエーブ』も半数以上の曲が過去曲の再利用だったが、こちらの割合はエドガー・フローゼのソロの曲まで再利用していて凄まじい。だからこそ当時アルバムが出なかったものと思われるが、このレーベル、次はタンジェリンのビデオ作品のサントラ『神曲・地獄編』の発売を予定しており、これも一連のソニック・ポエム・シリーズの再発なのかはたまた別作品なのか。タンジェリン海溝の奥底は闇より深い。

ソフト・マシーン「ライブ・イン・ザ・70,s」


15年発表。フローティング・ワールド社から、マシーンの4枚組・ライブ・アンソロジーの第二弾が発売。とは言っても、マシーンの音質の良い未発表ライブが残っている訳ではなく、旧作ライブのコンパイル盤。ディスク1、2は72年『6』発表時のパリ公演『メイド・イン・フランス』全曲+恐らく70年ロンドン公演の『フェイスリフト』から3曲を追加。ディスク3は70年クロイドン公演の高音質ライブ、リン・ドブソン(Sax)入りの『ノイゼット』全曲、ディスク4は最近国内盤も発売された『5』期の71年ドイツ公演『ドロップ』全曲、と云う構成。マシーンはスタジオ盤だけでなく同時期のライブも追いかける事により、初めて全貌が見えて来る極めてジャズ・フォーマットなバンドなのだが、一時期死ぬ程出ていた発掘ライブ盤もその殆どが廃盤の憂き目に合っている。そのため過去のライブ盤をこの様な形で廉価版アンソロジー(某所で2000円位)で出してくれるのは充分に意義のある再発と思われる。まだまだ廃盤となっている傑作ライブ盤も多いので、是非第三弾、第四弾と出して頂きたい。『ヴァーチャリー』や『グライズ』、『ライブ・イン・ノルウェー』辺りでもう1セット、とかどないでしょうか。

スティーブ・ハウ「アンソロジー」


15年発表。スティーブ・ハウ(g)、ソロ活動の集大成、渾身のアンソロジーが発売。過去に発売されていた14枚のソロ・アルバム、及びレア・トラック2枚から満遍なく代表作を収録、過去にリコール・メディア社から本人未承諾の似た様な2枚組『Light Walls』は出ていたが、今回は息子のヴァージルも交えての本人監修・選曲、ハウの手掛けたイエスのアンソロジーと同様、人柄の表れたしっかりとした製品となっている。ポール・スーティン(Key)等との連名アルバム2枚、マーティン・テイラー(g)やオリヴァー・ウェイクマン(Key)との連名アルバム各1枚、ソロ・ライブ盤2枚からの曲はオミット。また、デモ曲集『ホームブリュー』4枚からは『2』からの1曲のみ収録。あくまでハウのアンソロジーと云う事か。ボーナス・トラックとしてはアンダーソンにブルーフォードも参加したオーケストラの企画物『シンフォニック・ミュージック・オブ・イエス』から『ムード・フォー・ア・デイ』、ギター・インストのコンピレーション『ギター・スピークス』から『シャープ・オン・アタック』。この時期に活動の総決算的アルバムを出すと言うのは、年齢もあって意味深なものも感じてしまうのだが・・・まだまだ引退はして欲しくはないなぁ。

エマーソン・レイク・アンド・パーマー「展覧会の絵 デラックス・エディション」


09年発表。『トリロジー』のデラックス・エディションが来月発売のEL&P、『展覧会の絵』は?と思っていたが数年前にこれが出ていたのですね。2枚組でディスク1はオリジナル盤の08年リマスター版+『ワイト島ライブ』から『展覧会~』のみの抜粋。ディスク2は「内容がイマイチだったので没にした」と言われていた、当初の盤面化予定で収録されていた70年ロンドン・ライシアム公演の全曲を収録。『展覧会』尽くしですな。デビューから間もないワイト島はともかく、伝説のライシアム公演は少し演奏は荒っぽいが、音質的には最新のリマスタリング効果もあって問題ないレベル。『展覧会~』の後には『石をとれ』『野蛮人』、そしてお馴染みパーマーの長い長いドラム・ソロの後に必殺の『ロンド』!音質の良いEL&P初期ライブ音源を聴けるだけでも価値がある。しかし、『トリロジー』の後のデラックス・エディションの発売予定はどうなるんだろう。以降は売上がかなり落ち込みそうだが・・・?

ゴブリン「フォー・オブ・ア・カインド」


15年作。伊ゴブリンのスタジオ盤新作が発表。ところがまたまたメンバーが入れ替わり、マッシモ・モランテ(g)、ファビオ・ピニャッテリ(b)、アゴスティーノ・マランゴロ(ds)、マウリツィオ・グアリーニ(key)。つまり、クラウディオ・シモネッティ(Key)+デモニア組が抜け、05年の『バック・トゥ・ザ・ゴブリン』に編成が戻った事になる。シモネッティ組は「クラウディオ・シモネッティズ・ゴブリン」として今後の活動を表明しており、メンバーがコロッコロ変わるのはイタリアン・プログ・バンドとしては日常の光景とは言え、もう何がなんだか判らない(笑)。まぁ、それはそれとして楽曲は当然の事ながらピニャッテリ主導の80年代のゴブリンのサントラ仕事に酷似。架空のサスペンス映画のサウンドトラックとして聴きこむのには良いかも知れない出来。実はグアリーニはセカンド・キーボーディストとして在籍が長いのに、一度も来日していないので、これを機にまたクラブ・チッタ辺りに来日して欲しいものです。

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