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残酷!音楽怪獣プログレ

しがないプログレ好きで、よく中古盤を漁っています。ときどきライブなんぞにも行っておりやす。

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ゴブリン「ジ・ウルティメイト・コレクション」


15年発表。『ヴォーロ』再発やバンド本体の活動再開に合わせたか、また出たシネヴォックス時代のゴブリンのベスト盤。2枚組。先年再発された2枚組ベスト『惨劇の調書』は『フェノミナ』までのサントラ作品で一枚、未発表ライブで一枚の構成だったが、今回はレーベル在籍時の全作品から網羅。ディスク1は『ダリオ・アルジェントの世界』、『サスペリア2』『サスペリア』『シャドー』『フェノミナ』『スリープレス』からのサントラ作品を収録。ディスク2は『ゴブリンの世界』、サントラ作品としては『ゾンビ』『ビヨンド・ザ・ダークネス~屍肉の愛』『デモンズ3』『マーティン(伊盤)』『パトリック(伊盤)』『エイリアンドローム』『ヘロイン・バスターズ』『セント・へレンズ』『抱いて』『チ?』『ガンマ』、スタジオ盤作品で前身チェリー・ファイブの『白鳥の殺意』ゴブリン時代の『ローラー』『マークの幻想の旅』からそれぞれ代表曲。ふぅ~^^;・・・。意外とアレが無いコレが無い、とかの印象もあるがまずは決定版ベストを目指した製品と言って良いだろう。現在のピニャッテリ・ゴブリンでまた来日はしないのかな。
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ゴブリン「ヴォーロ」


82年作。ゴブリン最後の未CD化アルバム、やっと商品化。厳密に言えば他にパニック映画『セント・へレンズ』のサントラが未発売だが、こちらは権利関係からかLP時代から一度も単独商品化されていない。さて、このアルバム、何で未CD化だったかと言うと当然訳ありで、何と全編ポップな歌物、カンツォーネの系譜を引くイ・プー等の系列盤なのである。勿論微塵もプログレっぽくない。オリジナル・メンバーはファビオ・ピニャッテリ(b)にマウリツィオ・グアリーニ(Key,Synth)。これにゴブリン初のリード・ヴォーカリスト、マウロ・ルイジーニ(Vo)、マルコ・リナルディ(g)、英国人のフュージョン・ドラマー、デレク・ウィルソン(ds)が加盟。イタリアはあれだけプログ・ミュージシャンが多くてもやはりチャートは伝統的に歌物が強く、ピニャッテリ、サントラ仕事も当時は頭打ちでここらへんで勝負に出た物と思われる。結果は惨敗、この後ゴブリンは数年活動が聞かれなくなる。しかしまぁ、ポップな歌物としては結構悪くなく、メンバーの器用な一面を垣間見る感じ。ラスト曲『エスト』のみインスト、その後映画『スパイ・コネクション』のサントラに流用されている。(但し別バージョン)

WMWS「ワン・ナイト・スタンド」


15年発表。久々のカンタベリー系の大物発掘音源、謎のバンドWMWSの登場。その正体はロバート・ワイアット(ds)、ゲイリー・ウインド(Sax)、デイブ・マクレエ(Key,Org),リチャード・シンクレア(b)の結成した一夜限りのジャム・セッション・バンド、73年4月に英国ロニー・スコット・クラブでのライブ。45分全1曲のモノラル・カセット録音だが、余り気にならない良質のリマスタリングが施されている。時期で言うとワイアットはマッチング・モールを一時解散させ、次の一手を模索していた所だが、その実験として当時のソフト・マシーンと同じサックス入りのジャズ・フォーマットのバンドを試して見ているのが面白い。マッチング・モールからマクレエ、キャラバンからシンクレアを連れて来ている時点で指向性はだいぶポップ寄りなのだが、ここでのサックスはシリアスなエルトン・ディーンではなくユーモラスなゲイリー・ウインド。テクニカルな演奏の応酬よりもほわっとしたリラクシンな印象、ラスト間際はフリー・ジャズではなくサイケデリックなロック・ジャムと成り果てる。もしもワイアットが事故に遭わず、マッチング・モールの3枚目にこの成果が反映されていたら、とイフの世界を想像してみるのもなかなか面白い物がある。ジャケットはジャズ・ピアニストでもあるゲイリーの未亡人、パム・ウインドのデザインした作品。

ヒュー・ホッパー「Vol.7 ソフト・バウンダリーズ」


15年発表。ソフト・マシーン時代の同僚、ヒュー・ホッパー(b)とエルトン・ディーン(Sax)は02年のマシーンの再結成プロジェクト、ソフト・ワークスの始動以降、まるでマグマやゴングの様に各国のミュージシャンと「ソフト・XX」名で競演、マシーンの活動母体を増殖させて行く。そのフランス版が「ソフト・バウンズ」、ホッパー、ディーンに旧知のフリー・ジャズ・ピアニスト、ソフィア・ドマンシッチ(p,Key)、元ゴングのサイモン・グーヴァー(ds)と云う編成。当時ライブ盤を1枚出していたので、これが数年ぶりのセカンド、と云う事になる。04年と05年の仏トライトンでの二つのライブを合本、それぞれ長尺2曲ずつで、04年版はマシーン時代の『スライトリー・オール・ザ・タイム』、ホッパーのソロから『ロンリー・シー・アンド・スカイズ』、05年はホッパーのソロから『スパニッシュ・ニー(マイルス・デイヴィスの曲のパロディ)』そして再び『スライトリー・オール・ザ・タイム』。但しこちらはジャン・ミッシェル・クーシェ(Sax)が加わり2管、マシーンの原曲に極めて近い構成になっている。聞き所はやはりソフィアのフリーな鍵盤演奏がマシーンの旧曲と絡むスリリングな展開か。さてVol.8は何が来る?!

ジョン・ロッジ「10,000ライト・イヤーズ・アゴー」


15年作。ムーディー・ブルースのジョン・ロッジ(Vo,b),38年振りのセカンド・ソロ・アルバムを発表。去年再発したファーストに久々に触発されたか。サイド・マンをクリス・スペディング(g)、アラン・ヒューイット(Key)、ゴードン・マーシャル(ds)とベテランの英国重鎮で固め、元ムーディーズのレイ・トーマス(Flute)、マイク・ピンダー(Key)も各1曲ずつゲスト参加。ジョン・ロッジは元々ジャスティン・ヘイワード共々ムーディーズの作詞・作曲担当、その為内容もムーディーズ直結の英国フォークの残滓漂うジェントルな楽曲が並び、バンド本体の活動が断続的になっている現在、この変わらぬ感覚は何者にも代え難い。トータルで30分弱と云う構成も、このご時世には品があって宜し。バンド本体の活動はそろそろ全員の年齢的な問題もあって、なかなか難しいと思うのだが、これが売れてソロ・ツアーでも開催してくれませんかね、ロッジさん。

メイベル・グリアーズ・トイショップ「ニュー・ウェイ・オブ・ライフ」


15年作。何とまぁ、やはりイエスの前身バンド、メイベル・グリアーズまで復活。オリジナル・メンバーのクライブ・ベイリー(Vo,g)とボブ・ハガー(ds)がたまたま海外のジャズ・フェスで再会、何かまたやって見ようとデモ・テープを作っていた所にお馴染みビリー・シャーウッド(b,Key,etc)がプロデューサーとして参加、恐らくこの時点で正式に再結成が決まりやはりオリジナル・メンバーだったトニー・ケイ(Key,Org)も参加、フュージョン・プレイヤーのヒューゴ・ヴァレ(b)も参加でここに目出度く復活作が届けられる。過去のメイベル~の音源は公式には、ピーター・バンクスのコンピレーション盤に音質劣悪な『エレクトリック・フューネラル』のライブが残っているのみだが、イエスの『ビヨンド・アンド・ビフォア』『スウィートネス』等は元々はこのバンドの曲、その2曲も含め、他にも当時のスクワイアとベイリーの共同楽曲などを現在の録音技術で再演奏。その為シャーウッドがいても作曲に参加していないので、いつもの「シャーウッド物」のワンパ感が無く、プロデューサーに徹しており、今回はGJである。これでザ・シン、バンクス亡き後のフラッシュも再結成している訳で、イエス関連バンドのロック・フェスとか出来そう。活動継続するのかねぇ?

ザ・シン「ライブ・ロズフェスト」


15年発表。スティーブ・ナーデリ(Vo)率いるイエスの前身バンド、ザ・シン復活作のライブ盤が発売。05年の再起からこれでコンピレーションを入れると5作目、焦らずまったり作品が発表されているのが宜しい。初期のスクワイア、ホワイトのご祝儀参加は無くなってしまったが、元イット・バイツのフランシス・ダナリー(g,Vo)、イエスのツアー・キーボーディストから横滑り参加、本業AORシンガーのトム・ブリスリン(Key,Org)と、それなりに華のある役者も揃っている。ロズフェストはあのロズウェル事件の現地で行われるサイケデリック・ロック・フェス、ホークウインド、タンジェリン・ドリーム等も常連参加しており、当然プログ・バンド率も異様に高い。60年代の『14アワーズ・テクニカル・ドリーム』から始まり、『ビッグ・スカイ』等の再結成後の新曲も披露。他にも『フラワー・マン』等の60年代のサイケな楽曲と新曲が違和感なく混ざり合い、こののんびりプログレを気に入るかどうかで評価は別れるだろう。CD/DVDの2枚組。

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