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残酷!音楽怪獣プログレ

しがないプログレ好きで、よく中古盤を漁っています。ときどきライブなんぞにも行っておりやす。

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スノウィー・ホワイト「ライブ・アット・ロックパラスト」


14年発表。フロイドのツアー・ギタリストとしても知られるスノウィー・ホワイト(Vo,g)は、ソロとしてはハウス・バンドのブルース・エージェンシーを率いて80年代から活躍する渋目の中堅ギタリスト。久々の新作は、CD2枚+DVD1枚のライブ・コンピレーション。07年と96年のドイツのロック・フェスでのライブをカップリング。お馴染みブルース・エージェンシーにスペシャル・ゲスト、マックス・ミドルトン(Key,Org)を迎えての演奏。相変わらずキレの良いブルース・ナンバーを中心に展開しているが、ゲストを活かすためにキーボードのインプロ・パートが増え、結果的にライブならではの(若干プログレっぽい)長尺物の曲が増えている。そろそろ80年代に演っていたAOR路線の曲も、このバンドでアレンジして演奏して欲しいね。スタジオ盤の新作はまだかいな?
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ソフト・マシーン「タングルウッド・テールズ」


14年発表。初期ソフト・マシーンの2枚組アンソロジー、久々の登場。過去には何枚か出ていたが全て廃盤、喜んでも良いのだがしかし、今回も音質は劣悪なブライアン・ホッパー音源と云うやるせなさ。63年~70年までのデモ音源、未発表音源、ライブ等から成り立っており、サイケデリック・ロック⇒ジャズ・ロック⇒フリー・ジャズ・ロック、への変遷が判る造りにはなっているが、それは少なくとも1st~3rdまでのスタジオ盤を聴きこんだ人の感想。63年の前身であるデヴィッド・アレン・トリオ、未発表に終わったジョルジュ・ゴメルスキー音源を聴いている事も条件に入るかも知れない。そこまでのバンドの歴史を脳内で踏まえての、あくまで『落ち穂拾い』音源であり、それでなくてはこの凶悪な音質に普通の人は耐えられない筈。カンタベリー・ミュージックの最重要バンドの、初期音源を集めた公式ブートレグ、位の心構えで望んだ方が良いかもしれない。時代資料としては他で聽けない初出音源も含まれており、一級品。

ジャスティン・ヘイワード「スピリッツ・ライブ」


14年作。ザ・ムーディー・ブルースのリード・ヴォーカル、ジャスティン・ヘイワードのソロ・ライブ盤が発売。ヘイワードも68歳、流石に貫禄が付いて来ましたね。米アトランタ公演の収録で、バンドはヘイワードの他にコーラス、ギター、キーボードで3人、一部のリズム・トラック等はテープ使用と云う、グレッグ・レイク等最近の大物ヴォーカル系にありがちな編成。この辺はいつも通り、「ライブ」としては毀誉褒貶があるだろう。節制しているのか、ヘイワードの声量は余り衰えておらず、ムーディーズの曲も『クエスチョン』『サテンの夜』等綺麗にこなしている。他メンバーの健康状態などを考えると、最早ツアーを組めるのはヘイワード一人しかいなくなってしまっており、一抹の寂しさはやはり感じてしまう。ジョン・ロッジと「二人ライブ」とか出来んもんかね?

ケイト・ブッシュ「1979 テレヴィジョン・スペシャル」 


79年作。有名ミュージシャンの放送用音源の権利を購入し、期間限定でCD+DVDを出し続けている相変わらず海賊版スレスレの商売人、蘭イモータル・レーベルからケイト・ブッシュのTVライブ、二作目の登場。1979年の英BBC「クリスマス・スペシャル」として昔から有名な音源。と言うより、ケイト本人がメディアへの露出は極端に少ない人なので、代表的なのは前回発売のライブとこれ位か。ピーター・ゲイブリエルがゲストで参加、名曲『ヒア・カムズ・ザ・フラッド』を独唱。『ヴァイオリン』『少年の瞳を持つ男』『ウエディング・リスト』等代表曲も目白押しだが、小編成のスタジオ・ライブなので、質感はだいぶ小じんまり。音質は中の下くらい?たまにはリマスタリングして出して欲しいですな。

ライフサインズ「ライフサインズ」


13年作。ジョン・ウエットン・バンド等で修行していた、ジョン・ヤング(Key,P)が若手プログ・ロック・バンドのメンバーと結成した、EL&Pスタイルの独立作。スティーブ・ハケット(g)、ジャッコ・ジャグジグ(g,Vo)、タイス・ヴァン・リアー(Flute)がご祝儀ゲストで参加。全て10分近くの優美なシンフォニック・ロックで、歌モノも端正、演奏もスタジオ・ミュージシャン歴が長いだけあって、メリハリが効いている。非常に優等生的なアルバムに仕上がっており、プログレ版のザ・バンド、TOTO辺りと言ったら褒め過ぎか?勿論ソレ以上のものが無いのが「現在」のプログ・ロックとして物足りなく思える向きもあろうが、この手のバンドに何を求めるかに因って意見は別れるだろう。歌詞とシンクロしたジャケットも秀逸。

チャーリー「グッドモーニング・アメリカ」


81年作。チャーリーは「第二のクイーン」を目指して英国で76年に結成されたバンド。本家並みに分厚いコーラス・ワーク、ブライアン・メイ張りに特徴的なギター・ワーク、洗練されたキーボード・・・なのだがカヴァー・ガールをイメージした下世話なエロジャケ、いま一つフックの無い楽曲などパッとしないプロモーションも影響して、発表枚数が多い割には今ひとつ売れてはいない(^_^;)。これは大手RCAに移籍し、大物プロデューサー、テリー・トーマスの采配の元、アメリカ市場を狙って作られた作品。90125イエス、エイジア、ジャーニー等のインダストリアル・ロック、ある意味「3分間のプログレ」を目指した方向性のはっきりしたアルバムで、これ迄の少しボーッとした作品群に比べてもダンチの出来だが、商業的にやはり不評。米国ではAORマーケットで「ちょっと売れた」感じだが、市場の規模が大きいためそのままその地位に安住。メンバー・チェンジも繰り返し、現在でも米国で迷走中である。ささやかな幸せって、大事だよね。

ソフト・マシーン「ドロップ~『5』ライブ1971」


71年作。マシーンの発掘ライブ・シリーズ、第二弾もリマスタリングされ国内盤で再発。71年、『5』発表時のジャーマン・ツアーからの音源で、リン・ドブスン(Flute)、フィル・ハワード(ds)参加の唯一の公式ライブ。メンバーは他にはエルトン・ディーン(sax)、ヒュー・ホッパー(b)、マイク・ラトリッジ(Key)と黄金期。フリー・ジャズに大きく傾倒した時期の作品、と巷説囁やかれているが、『スライトリー・オール・ザ・タイム』『アズ・イフ』等の代表曲を聴く限り、フリーのイディオムを使用してプログ・ロック独特の長尺物の曲にメリハリを付け、フリーとも後のフュージョンとも違う、「新しい音楽」の開発に勤しんでいる時期の様な気がする。この後、ディーンもハワードも脱退、ニュークリアスから後期の最重要人物、カール・ジェンキンスを引き入れ、バンドはまた異なる音楽性に挑戦し続けて行く事となる。

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