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残酷!音楽怪獣プログレ

しがないプログレ好きで、よく中古盤を漁っています。ときどきライブなんぞにも行っておりやす。

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フラッシュ「フラッシュ・フィーチャリング・レイ・ベネット&コリン・カーター」


13年作。故ピーター・バンクスが在籍した、サイケデリック・プログ・バンド、フラッシュの復活作。73年の『死霊の国』以来の4作目だから、30年振りの新作と云う事になる。オリジナル・メンバーはレイ・ベネット(b,Rhythm g)とコリン・カーター(Vo,Key,g)の二人。過去作はピーター・バンクス(g)の古巣、イエスの影響のある楽曲に、サイケデリック風味をお砂糖的に眩したものだったが、今回は・・・うーん。7~10分の曲が多く、構成的には紛れも無いプログレなのだが、聴いた印象が全くプログレではない。ベネットの作曲が凡庸過ぎて、ただ70年代に流行った構成をなぞっているだけ、と云う気がして来る。元から演奏力で勝負するバンドではないので、残念ながら、30年のブランクは結構大きいねぇ、と云う感じ。イエス関連作は何でも集めてる人向けかな。
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V.A「バレース・サラバンデ 35thアニバーサリー」


13年発売。昔からの映画ファンはサントラ・レーベルの老舗、米バレース・サラバンデ社には一度ならずお世話になってるだろう。近年は仏イントラーダ、米クリッツアーランドやラララ・ランド等ライバル社も多く、近年とうとう買収されてしまったが、大手が出さないBクラスの映画やカルト映画のサントラを「商売になる」レベルに迄引き上げた功績は大きい。今年で35周年と云う事で、出して来ました4枚組の大作コンピレーション。トム・ナルやロバート・タウンソンらの選曲は、映画の中で効果的に使われた曲よりも「楽曲として面白い」曲を選ぶ独自の基準があり、それはこのコンピでも1枚目は派手目のオーケストラの第一楽章、2枚目は美しいメロディーの第2楽章・・・と云う風に、全体でエラく長い交響曲のCDとしても聴ける構成になっているのがバレース健在、と云う気がしてくる。現在のマニア向けサントラの商品は構成とか関係無く、ある音源全部入れまーす、と云うのが主流になっているので、この社風はやや時代遅れなのかも知れない。しかし、LPやCDの評価基準に「構成美」があり、それがサントラをチラシやパンフ等のコレクター・グッズと一線を引いていた要因と感じていたのは私だけ?そんな事を考えさせてくれるコンピではあります。

特撮「初めての特撮 Vol.1」


02年発売。現在大槻ケンヂ(Vo)は筋肉少女帯と特撮、両バンドを率いて活動しているが、ややプログレ指数が高いのは特撮の方。特に超絶演奏ピアニスト、三柴理の存在は同じく「全てのジャンルに対応可能」なギタリスト、Narasakiと共に大きく、バンド内にキース・エマーソンとリッチー・ブラックモアが同居している様なもので、大槻の趣味性の高いこのバンドのスター・プレイヤーとして充分に機能している。メロトロンが美しい『オーケンのアザナエル』、韓国映画『大怪獣ヤンガリー』の主題歌で、本編を見てないと何処が面白いのか判らない歌詞の『ヤンガリー』に対して、同じ怪獣だからって超絶インストの『アクアヤンガリー』を付け加えるこのセンス、80年代名曲のカヴァー『ジェロニモ』も入っている。聳え立つぜモヒカン!!何かハマってこの後の『5年後の世界』『パナギアの恩恵』も買ってしまった(笑)。プログレ好きはジャップス・プログの一形態として聴いて見ると面白いかも。

ユミ・ハラ・クラックウェル「ステートメント・ヒールズ」


13年作。ユミ・ハラは英国在住の前衛音楽家、日本で精神科医として活躍した後、渡英して音大に学び、邦楽とヨーロッパの古典音楽が混在した、前衛的演奏家として活躍している変わり種。初紹介アルバムがヒュー・ホッパー(b)との共演作だったせいか、カンタベリー系のプログレ周辺の人脈とのコラボも多い。このファースト・アルバムもオノ・ヨーコ・ミーツ・ロバート・ワイアットと云う感じで、バルトークの楽曲をアレンジしたタイトル曲、日本の謡(うたい)の要素を詰めて3.11後の世界を歌った『災後の子守唄』、超絶演奏にヴォイス・パフォーマンスが絡む『始祖鳥』など、様々なタイプの実験音楽が収められ、その立ち位置はまさにプログレッシブ。2枚目、3枚目が楽しみなアーティストでありますな。

IZZ「クラッシュ・オブ・ザ・ナイト」

 
12年作。米新鋭プログレ・バンド、4作目。テクニカルな演奏、23分の大作、ジェントル・ジャイアントにも比較される構成。アメリカン・ハード・プログレにならず、英国風の翳りのあるメロディー、プログレ原理主義者が嫌う「不純物」が一切無く、いわゆる上記の要素が好きなら、安心してお薦め出来る作品。音質も今のCDらしくかなり良く、録音のせいで古臭く聴こえない。実は結構紆余曲折のあったバンドで、割りとこれまではあっちへ行ったりこっちへ行ったりしてたのだが、ここに来てようやく安定作を生み出した。5枚目はどうなるのかいな。

デヴィッド・アレン&クレイマー「ヒット・マン/フーズ・アフレイド?」


96年作。ゴンゾ・マルチメディア社のカンタベリー続々再発シリーズ、ゴングの総帥デヴィッド・アレン(Vo,g)とシミー・ディスクの親分クレイマー(Key,Synth)のコラボ作、ファーストとセカンドの2in1の廉価版で登場。レア盤となっていたので、これは嬉しい再発。怪人万年ヒッピー男とNYのアヴァンギャルド・ロックの体現者が組んだこのアルバム、予想していた様にまぁ普通の出来じゃない。ロックのフィールドに入れて良いのかどうかも判らない。こんなんどうだろうとかこんなんやった事ないだろうとか、作品の名を借りた壮大な実験作。アートであるからして、歌詞がどうの演奏がどうのとかは問わず、これはこのまま享受すべきものなのだろう。この後『ブレインヴィル』『クルーエル・バット・フェア』も再発予定。

スプリング「スプリング」


71年作。メロトロンがお好きな皆様、お待たせ致しました。英国トリプル・メロトロンが唸る、スペシャル・メロトロン定食。英国フォークの伝統の味をベースにした、優しく穏やかな時間が流れる音楽。名匠キーフのジャケ写も決まった定番の味わい。フルートやサックスの隠し味もまろやか、英国プログレ好きには堪らないお味に仕上がっております。このファーストで感動した方、今では未発表アルバム『2』も発売されているので、併せて聴くのも一興かと。このレベルのアルバムが連チャンで聴ければ、もう他のプログレなんか探さなくても良いような気がするなぁ。再結成盤もレアだが有り。

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プログレは楽しい。プログレは、音楽ジャンルではなく、新たな人生の思考法だ(=^・・^=)

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