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残酷!音楽怪獣プログレ

しがないプログレ好きで、よく中古盤を漁っています。ときどきライブなんぞにも行っておりやす。

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V.A「ザ・ダッチ・ウッドストック 1970」


13年再発。以前に『スタンピング・グラウンド』と云うタイトルでDVD化されていたが、今回2CD+1DVDの完全版として再発。1970年、オランダで行われた大規模なロック・フェスのライブ盤で、サイケデリック・ロック、プログレッシブ・ロック系のミュージシャン大挙出演で昔から有名な音源。バーズ、ジェファーソン・エアプレーン、サンタナ、T-REX、ファミリー、ソフト・マシーン等バンド名を書いていたらそれで埋まってしまうが、トリがピンク・フロイドで『太陽讃歌』『神秘』を演奏。70年のフロイドの公式ライブが聴けると云う事で、フロイド・マニアは後年の『ネブワース1990』と共に購入せざるを得ない。ただ演奏も悪くないので、1970年のシーンを俯瞰するには悪くない好盤。DVDの画質はそこそこ。
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サーカ「ライブ・フロム・ヒア・ゼア・アンド・エブリウェア」


13年作。旧譜の再発と同時に、現メンバーによる最新ライブ盤も発売された。3rd『アンド・ソー・オン』の発表直後のものらしく、メンバーはビリー・シャーウッド(Vo,g)、トニー・ケイ(Key)にリック・ティアニー(b)、スコット・コナー(ds)。ジミー・ハーンが辞めた為、シャーウッドはパートをギターに持ち替えての参戦。基本的にプロモーション用のスタジオ・ライブらしく、だいぶノリが大人しい。来日公演やコンスピラシーのライブではイエスの曲を演ったりしていたが、今回は新譜を中心にセット・リストを組み立てている。内容は相変わらず80年代イエスの影響を受けたハード・プログレで、出来は悪くないが平均点過ぎて面白くない、と云う意見もあるかも。

サーカ「HQ」


08年作。サーカのセカンド、ファーストと同様にショップ初流通。ご祝儀参加だったアラン・ホワイトが抜け、シャーウッドの盟友ジェイ・シェレン(ds)が参加。内容は相変わらず80年代イエスの影響も見られるハード・プログレで、ますますシャーウッドのソロと見分けが付かなくなっている。この後ジミー・ハーンも脱退、シェレンもジョン・ペインのエイジアに行き、残った二人の「ビリー・シャーウッド&トニー・ケイ」と云う華のないメンツで来日公演もしたりしている。もはやシャーウッドのワンマン・バンドとしての印象は拭い難く、ここらで言う事を聞かない大物ミュージシャン辺りとコラボでもして欲しいところ。予定調和も良いけど、飽きるんだよね。

サーカ「CIRCA」


07年作。ライブDVDの付いた、新装版でクレオパトラ・レーベルから再発。と云うより、ネット販売オンリーだったので、これが初のショップ流通となる。元イエスのビリー・シャーウッド(Vo,b)、トニー・ケイ(Key)、今でもイエスのアラン・ホワイト(ds)、『結晶』でスティーブ・ハウの代役を務めた(?)と言われているジミー・ハーン(g)により結成され、「裏ABWH??」と期待されたが、内容はいつものシャーウッド主体のハード・プログレ。考えて見れば、ホワイトはこの時期クリス・スクワイアのザ・シンにも参加、メンバーのソロには割りとホイホイ顔を出しているし、ケイとハーンは主張の激しいミュージシャンでもなく、勢いコラボにならず、シャーウッドのリーダー作品になるのは自明の理である。それでもトレヴァー・ラビンが3曲提供していたり、裏イエス的な要素はまだ充分にある。シャーウッドの仕事の中では出来の良い部類だと思う。

リップ・リグ&パニック「ゴッド」


81年作。ある年代の人達には、スネークマン・ショーのセカンドに『ザ・ウルティメイト・イン・ファン』が収録されたバンド、と言えば分かり易いかも。パンク+ファンク+フリー・ジャズ、と云う音楽性は今だったらミクスチャーの一言で片付けられてしまうものの、80年代初頭にこの雑食性はむしろプログレッシブ。ギャレス・セイガー(g,Sax)の吹き荒ぶ暴風雨の様な演奏、アフリカン・ビートから人力ディスコまで何でも叩けるブルース・スミス(Ds,現PIL)、ピアノを足で弾いてるんじゃねぇかって感じのマーク・スプリンガー(Key,P)の混沌のブレンド。コレにヴォーカルのネネ・チェリーの縁で、次作やライブにはフリー・ジャズの大物(と云うかネネの親父さん(^_^;))ドン・チェリー(Sax)まで加わり、だんじり祭りの如き狂騒感を醸し出す。普段プログ・ファンが聴かない音楽性だろうけど、方法論的に面白いので是非ご一聴を。

ラネストラーネ「シャイニング」


11年作。イタリアのプログ・バンド、ラネストラーネのセカンド。彼らは「チネ・コンチェルト」と称し、古典的ホラー映画を上映しながら自分達のオリジナル曲をライブ演奏する、と云う変わった活動をしている。さて、今回はキューブリックの問題作『シャイニング』。お手並み拝見、と云う所だが、やはりオリジナルがウェンディ・カーロス演奏の『断頭台への行進』やらクシシュトフ・ペンデレツキの『ウトレンニャ』等の現代音楽家の作品を使用し、恐怖のイマジネーションを果てしなく拡げたのに対し、彼らの作風はマリリオンやイット・バイツ直系のハード・シンフォ系ポンプ・ロック。全てを歌詞で説明されると逆に想像力の幅が狭まり、映像とのシンクロも考えた労作なのも理解できるが、作品としてはどうかねぇ、と云う気がして来る。むしろリック・ウェイクマンとかがよくやってた、小説をネタにしたコンセプト・アルバム、と思って聴いた方が、まだ評価出来るかも。原作はもうすぐ続編が出ますねぇ^^;。

ヒュー・ロイド・ラングトン「レア&アンリリースド・トラックス 1971-2012」


13年発表。先頃夭折したホークウインドのリード・ギタリスト、ヒュー・ロイド・ラングトンのアンソロジーがクレオパトラ・レーベルから発売。奇しくも追悼盤になってしまった・・・(;_;)。2枚組で、Disk-1がホークス入社前に所属していたバンドの録音、入社後参加のバンドの未発表曲、Disk-2がソロ・アルバムの代表インスト曲と未発表曲、と云う構成。後にホークウインドで流用するフレーズがそこかしこに散見され、ヒューが作曲の面でもかなり貢献していた事が判る。ホークスのメンバーのソロは、ちょこちょこメンバーが変わってるせいもあって、イエスやクリムゾンと同じ位膨大にあるが、殆どの作品が何処かでバンド本体の音楽性と繋がっているものが多く、そこを面白いと見るかワンパターンと見るかが好みの差かな。

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