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残酷!音楽怪獣プログレ

しがないプログレ好きで、よく中古盤を漁っています。ときどきライブなんぞにも行っておりやす。

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マンマル・マシーン「密議」

 
10年作。英国在住のカンタベリー系前衛音楽家、ユミ・ハラ・コークウェル(Vo,Key)にタバタミツル(g)、宮崎りえ(b)らが組んだ自称「サイケデリック・プログレッシブ・バンド」。バンド名やジャケ写からソフト・マシーンへのリスペクトを感じさせるが、あちこちから指摘されている様にむしろその音楽性は70年台初頭のクラウト・ロックの雄、アモン・デュールⅡに酷似している。カンタベリー・ミュージックへのリスペクトで始めて見たら、メンバーの指向性によりアブストラクトなジャーマン・サイケ系になっちゃいました、てな感じだろうか。前衛で、猥雑で、インプロがバカテクでどうしようもなくエピタフな音楽作品。同じソフトでもマシーンでなくマウンテンの方に近いか?予定調和的な音楽や、音楽のややこしいジャンル分けに飽き飽きしている人にお薦めの一枚です。
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ソフト・マシーン「ライブ・イン・1970」


14年発表。タイトルからして音質超極悪の1枚もののライブ盤の再発か、と思いきや驚異の4枚組。その中身は既発『サムウェア・イン・ソーホー』(2枚組、英国ロニー・スコット・クラブでのライブ)と『ブレイド・リアクター』(2枚組、リン・ドブソン(sax)在籍時のオランダ・ライブ)のカップリング盤。そのくせジャケットは別な音質極悪なライブ盤の『フェイスリフト』のもの、と云うややこしい製品。内容はセカンドの編成にエルトン・ディーン一派が参加、フリー・ジャズへの傾倒と共に徐々に長尺のインプロヴィゼーションが多くなって行く時期。どちらも極上音源と云う訳ではないがモノラル録音をリマスタリングしており、時代を考えればそんなに悪くはない。するってえと、オリジナルの『ライブ・イン・1970』と『フェイスリフト』の2枚は、今後商品としては封印か?確かに何でも出しゃ良いって訳じゃ、無いけどねぇ。

イエス「ザ・ベリー・ベスト・オブ・イエス」


14年発表。またでたイエスの廉価版ベスト、今回はCD+DVDの2枚組。来月から始まるツアー向けのカタログ、と云う事でしょうね。CDの方は『ロンリー・ハート』『ラウンドアバウト』は入っているが『危機』『悟りの境地』『シベリアン・カートゥル』は入っていない、とまぁ典型的な一枚物ベストとなっております。DVDは70年前後のTV出演シーンを集めたものと、90125イエスのブート・ビデオ(?)からのライブが2曲。70年前後のビデオは結構バラバラに発売しているので、まとめて見せてくれるのは有難い、位の感想ですかねぇ。来月の新譜が楽しみですのぉ(^_^;)。

ピンク・フロイド「炎~アウトテイクス」


14年発表。ブートレグです。『アニマルズ』に続いて『炎』のアウトテイクスも流出。とは言っても、未発表曲がこの時期のフロイドにある訳がなく、正確には「デモ・テイク」の流出ですな。パート1からパート9までがラン・スルーで演奏される『狂ったダイアモンド』、勿論ギルモアのギター・ソロは完成品とは全く別物。続いてデモのためシンセがヘニャヘニャ、風呂で歌っているかの様なロジャーのヴォーカルが響いて来る『ようこそマシーンへ』、既発のものと歌詞が違うロジャーとギルモアのデュエットでお送りする『葉巻はいかが』、そしてこれも既発だがステファン・グラッペリ(Violin)が全編を通してフィーチャーされている『あなたがここにいて欲しい』。ひとつ言えるのは完成版がやはり大正解、『あなたが~』でアルバムが終わった場合、寂しいったらありません(;_;)。

ラスト・ミニット・プット・トゥゲザー・ブギー・バンド「シックス・アワー・テクニカラー・ドリーム」


72年作。これが現在公式で聴ける、シド・バレット在りし日の最終音源。同バンドはブルース・ペイン(Vo)、トゥインク(ds,Per)、ジャック・モンク(b)の3ピースで構成される「グレイトフル・デッド・タイプのハウス・バンド」。その72年1月27日のライブ、内3曲にシドがヘンリー・カウのフレッド・フリス(g)と共に飛び入り。(5,6,7曲目)5+7曲はザ・フーっぽい通常の荒っぽいロックン・ロールだが、6曲目は約10分に及ぶサイケデリック・セッション、トゥインクの在籍していたピンク・フェアリーズを思わせる演奏。勿論この演奏から、フロイドなりの息吹は何ら感じ取るのは難しく、ある時代のドキュメント以外の何物でもない。この後ブルース・ペインを除いたメンバーにシドが加わり「スターズ」を結成するが、数回のギグの後にシドが脱退。以降は逝去の日までシドは音楽活動をする事無く終わっている。

ファビオ・フリッツィ「地獄の門(完全版)」


80年作。何度も出ている気がするが、アナログLPを除くと意外にも単体でのCD化は初。80年のルチオ・フルチ監督の超傑作『地獄の門』のサントラ、リマスター再発。『サンゲリア2』(その後の同名の映画とは別)の仮題で国内公開も予定されていた作品で、自殺したトーマス神父が甦ってあちこち大変な事になる話。その脚本があるんだかないんだかの超絶展開は、フルチの数あるキXガイ映画の中でピカイチ。いやマジで。と云う訳でこの完全版ですが、以前にiTunesで追加されたBGMと旧BGMとのミキシングのバランスが取れてなかったり、まぁ相変わらずイタリアンなやっつけ仕事で好感が持てる(^_^;)。現在、フリッツィ・バンドはルチオ・フルチ作品のサントラ・ライブを敢行している様で、最後に『地獄の門』ライブ・バージョン、てな空恐ろしいボートラが入っている。これこそクラブ・チッタに呼んでくださいよ~。

イ・プー「オペラ・セカンダ」


12年作。現在の新生イ・プーのメンバーによる、70~80年代の旧作のリメイク作。全曲アンサンブル・シンフォニー・オーケストラをバックにした、優美なアレンジに生まれ変わっている。初期プログ・エラの色は無いにしろ、ストリングスを加えた70年台後期の代表曲は美しく、意図せずこの時期の「ベスト盤」の役割も果たしている。見処はやはりテクニカルな演奏よりも、二重三重に張り巡らされたコーラス・ワーク。聞きように因ってはかなり通俗的だが、歌を聴かせる部分が一番の「売り」なので、そこは外していない。イタリアン・プログのカンタトゥーレ(歌モノ)の一つの頂点にある作品。

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