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残酷!音楽怪獣プログレ

しがないプログレ好きで、よく中古盤を漁っています。ときどきライブなんぞにも行っておりやす。

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フィル・コリンズ・ビッグ・バンド「ホット・ナイト・イン・パリ」


98年、ジャズのビッグ・バンド形式のパリ・ライブ。フィルはブランドXしかり、ジェネシスやソロ活動が停滞した時に、いちドラマーに戻って全く違う音楽に走り、自分を活性化させる癖がある。これはソロ活動が一段落した時点で、「ススーディオ」「アゲンスト・オール・オッズ」等の自作曲、ジェネシスの「ザッツ・オール」「インビジブル・タッチ」等をビッグ・バンド・カヴァーし、ヨーロッパをツアーした時のもの。いわゆる「旦那芸」として、古参のファンには片付けられているが、ジャズ畑の名手を「金に任せて」集めただけあって、そのスイング感はなかなかのもの。特に「ロス・エンドス組曲」は、プログレッシブ・ジャズとも言うべき、他に類型の無いユニークな音楽になっている。ジョージ・デューク(p)、ジェームズ・カーター(ts)、ジェラルド・アルブライト(as)らも参加。「マイルストーン」「ピックアップ・ザ・ピーシーズ」等の古典曲も、楽しそうに演奏している。しかし、ビル・ブルーフォードもそうだが、この時期の人たち、みんな一度は「バディ・リッチ」になりたがるんだよなぁ。一度ちゃんと系統立てて聴いてみようかね。
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ビル・ブルーフォード「ビル・ブルーフォード自伝(書籍)」


プログレ系の音楽書籍と言うのは、楽譜集などを除いて発行部数も少ないし、再販もなかなかされない。やはりビートルズやストーンズに比べると、まだまだマイノリティーな様だ。ジャズなんか、新規CDより書籍の新刊の方が多いんじゃないのかなぁ。
そんな中、今月、奇跡の如く翻訳・発売されたのが、このビル・ブルーフォードの自伝。本人の言により、名前の表記が従来の「ブラッフォード」から「ブルーフォード」になっている。英国紳士たる本人の性格からか、ファンが少しは期待してるであろう、イエスやクリムゾンの「ウラ話」的なゴシップは控え目、非常にジェントル、且つミュージシャンシップに対する学究的な内容となっている。特に第6章のプログレに対する、現場からの考察は必読。
プログレに興味がある人よりも、ジャンルを問わず音樂家を目指している人、中身の濃い人生論を読みたい人には、かなり面白い内容なんじゃないのかな。リック・ウェイクマン、ニック・メイソンもかなりユニークな自伝を出版しているので、この辺りも何れ翻訳して欲しいね。

ジ・オーストラリアン・ピンク・フロイド・ショー「ライブ・アット・ハマースミス・アポロ2011」


ピンク・フロイドのカヴァー・バンドはそれこそ星の数ほどあり、中には本家と同じ位の規模のライト・ショーで、ワールド・ツアーを行なっている大物もいる。日本にも、数年前に「ピンク・フロイド・スピリッツ」が、東京国際フォーラムに来日公演を行なっている。
このオーストラリアン・ピンク・フロイド・ショーも、本物そっくりの演奏・演出を行う最大手の大物。今回、英国ハマースミス劇場と云う名門のハコでのライブが、CD&DVD化された。(DVDはリージョン1)コストを掛けた豪華な舞台装置、原曲のタメまで再現する脅威のリスペクト振り、単にコピー・バンドでは片付けられないオーラがある。勿論、フロイドの原曲あっての感動だと思うのだが、こう言うバンドがメジャー化する事自体、もうオリジナルのフロイドのライブが見れる可能性が、壊滅的に有り得ない事実を想起させられ、ファンとしては複雑な思いに駆られる。同時に、この時期のロックが、クラシック化している事の証明でもあり、更に複雑な感情に落ち込むのでありました。1枚もの「エクスポーズド・イン・ライト」も同時発売。

フュージョン・シンジケート「フュージョン・シンジケート」


「ビッチェズ・ブリュー」のようなジャケ、売り場が大手レコード店では「ジャズ」のカテゴリーだが、これ実はビリー・シャーウッドのフュージョン+プログレ・オールスターズによる企画物アルバムなのである。仕事早いなぁ。2ケ月前に「プログ・コレクティブ」と「スーパートランプ・トリビュート」を出したばっかだぞ。内容は「プログ~」と同じく、棋界のベテラン・アーティストを招いたビリー・シャーウッド作詞・作曲の作品集。参加メンバーは、ジャズ界からラリー・コルエル、ビリー・コブハム、ジェリー・グッドマン他、プログレ界からリック・ウェイクマン、トニー・ケイ、スティーブ・ヒレッジ、ジョン・エサリッジその他相変わらずぞろぞろ、ぞろぞろ。もうあれだ、この人には「プログレ界のクインシー・ジョーンズ」の称号を挙げよう、良い意味でも悪い意味でも。同時に個人名義のソロ・アルバムも発表、何にせよ、この創作意欲は凄いことである。

エドガー・フローゼ「ダリネトピア」


05年作。フローゼは若いころ、画家のサルバドール・ダリと親交があり、一時はスペインのダリ宅の豪邸に寄宿もしていたのはよく知られているが、そのダリとの思い出、作品に対する印象を音楽化したもの。タイトルも「ダリXXX」で統一されている。近年のタンジェリン・ドリームの音に酷似した内容だが、非常にパーソナルな題材を取り扱っているため、ソロ名義で発表したのだろうか。近年のフローゼはテクノやアンビエント系に走り、聴き易すぎる、と言うファンも多いが、この様に主題のはっきりした作品では美しいメロディーを打ち出して来る辺り、まだまだベテランの風格を感じさせる。久々の傑作。

マイク・オールドフィールド「ライブ・イン・ジャーマニー1980」


前項のケイト・ブッシュと同時発売、これも初CD+初DVD化。「QE2」を出した頃のライブで、「タウラス パート1」等の他に勿論「チューブラー・ベルズ」も演奏している。バンド・メンバーはマイク(G,b、Key)の他にはマギー・ライリー(Vo)、ブランドXのモーリス・パート(Ds)、10CCのリック・フェン(G、b),ティム・グロス(Key)と割りと豪華メンバー。1枚もののため、大作が殆ど入っていない構成だが、演奏に手練が揃っているためか、まるで60分に再構成された組曲のライブの様にも感じられる。残念だけど、これも音質はそこそこ。とりあえず出してくれるだけでも良いか。

ケイト・ブッシュ「ライブ・アット・ハマースミス・オデオン1979」


インモータル・レーベルは、廃盤になった英国ロック系のライブ・ヴィデオの、CDとDVDでの再発をメインとしている会社。クラプトン、ザ・フー、フロイド等のビッグ・ネームもあるし、意外と侮れない。プログレ系もジェネシス、クリムゾン等ちょこちょこ出している。今回発売になったケイト・ブッシュの79年ライブは、昔から、公式ライブとしては唯一のものなのに長らく廃盤、やっと初CD化+初DVD化となる。時期としては「魔物語」を出す前であり、「天使と小悪魔」「ライオンハート」辺りから曲が演奏され、声も若々しい。好みの問題かも知れないが、「ドリーミング」辺りから何かヤバイ方向に行ってしまうので、まだノーマルな時期のライブが見れるのが嬉しい。海外だと「プログレ」と云うより、「ゴスロリ」の元祖、として捉えられているみたいだね。画質や音質はそこそこ。

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