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残酷!音楽怪獣プログレ

しがないプログレ好きで、よく中古盤を漁っています。ときどきライブなんぞにも行っておりやす。

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ロジャー・ウォーターズ「ザ・タイド・イズ・ターニング」


87年作。ウォーターズのソロで、傑作があるとすればこの一曲。『ラジオK.A.O.S』のラスト曲だが、珍しく曲単体でも通用する歌詞、分かり易いメロディー。ライブ・エイドを見終わったウォーターズが一気に描き上げた、極めてポジティブなメッセージ・ソング。ボブ・ディランやジョン・レノンの「あの曲」をも彷彿とさせる。ソロ時代のウォーターズの作品に懐疑的な私だが、この曲だけは認めざるを得ない。流れは本当に変わりつつあるのか、それは聴き手に委ねられた未来への課題と言えよう。CDシングルには『マネー』ポール・キャラック(Vo)の擬似ライブ、デモ曲の『ゲット・バック・トゥ・レディオ』のアルバム未収録曲入り。
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ジョニー・グリーンウッド+CAN「ノルウェイの森(オリジナル・サウンドトラック)」


11年作。村上春樹原作の映画『ノルウェイの森』のサントラだが、ビートルズ・ナンバーは入っていない。(劇中では登場人物の弾き語りで歌われる)。権利関係もあるのだろうが、BGMとして使われるのはレディオヘッドのジョニー・グリーンウッド(g)の音楽と、70年代のドイツの前衛バンド,CANの名盤『Soundtracks』から歌モノが3曲。つまり新旧プログレ・バンドの競演なわけで、この辺はトラン・アン・ユン監督の趣味なのだろう。最もこのストーリーにビートルズばんばん、悲しいシーンに悲しいBGM、とかやってたら漫画になってしまう訳で、何処か違和感のある虚構の1970年の風景(これもワタナベの心象風景、と解すれば理解出来る)と相俟って、独特の浮遊感を醸し出している。映画音楽も人間も、ちょっとズレていた方が「面白い」のかもね。

ジャスティン・ヘイワード「スピリッツ・オブ・ザ・ウエスタン・スカイ」


13年作。ムーディー・ブルースのジャスティン・ヘイワード(Vo,G)久々のソロ・アルバム。ソロ・ライブ盤とかは出ていたが、スタジオ盤としては96年以来とか。確かに本家も、スペシャル・ライブはやっているが暫くスタジオ盤は出ていない。メンバーの年齢や健康状態を考えれば致し方無いが、ちょっと寂しい気もする。さて、唯一持病を抱えていないヘイワード、まだまだ声質も落ちずに割りと快調。80年代のヒット曲『アウト・ゼア・サムウェア』の再演なんかもやっている。(但し変なテクノ・バージョンなので、賛否両論はありそう)作詞作曲家はヘイワード本人だが、1曲だけケニー・ロギンズが参加。ムーディーズのファンだったら安心して楽しめる、お手本の様なソロ・アルバムとなっております。

グレッグ・レイク「ソングス・オブ・ア・ライフタイム」


13年作。昨年からUSツアーを行なっている、グレッグ・レイクの「ソロ・ツアー」の最新ライブ盤。以前にジョン・アンダーソンも似た様なツアーで来日していたが、バッキングは全てテープ演奏、つまりカラオケでレイクが一人で弾き語りをするパターン。当然、クリムゾン、EL&Pの曲が大半を占め、『マヌーヴァーズ』の楽曲、プレスリーのカヴァーなんぞも演奏している。レイクのヴォーカルは年齢相応のものとなっているが、それも一更、演歌歌手みたいに円熟味を増したものとして楽しんでよ、と云うコンセプトなので、そこを受け入れられるかどうかが試される。日本でも6月に下北沢Gardenに来日するが、この内容ならホテルのディナーショウでも演って貰いたいねぇ。

プログレと現在のリマスター盤


音楽とは、「音を楽しむ」と書く訳だから、なるべく良い音で聴きたくなる。オーディオ機器や再生装置に投資して、ハードウェアの面から補強する人もいれば、最新のリマスター盤や高性能規格CD等、ソフトウェア的に攻めていく人もいて、この辺は好きずきだろう。だが、この「リマスター盤」と云う奴、本当にアーティストが意図していた「音」なのだろうか。ジャズのマイルス・デイヴィスの「ビッチェズ・ブリュー」は完璧版のボックス・セットが出たが、このアルバム、当時のプログレとかと一緒で、多重録音で様々な素材を重ねあわせて作られている。このボックスは音質向上のため、当時のテープ素材をベースにしてもう一度オリジナルに似せてマスターを「再構築」。当然、音感も違うし、五月蝿く云うとコンマ数秒のタイミングも異なっている。これと同じリマスタリングをしているのが現在のソニー盤のEL&P。タイミングどころか曲順すら異なっている。どうしても当時の音を聞きたければ、CDは捨ててアナログを買いなさいと云うことか。いっその事、音質は気にしないから、当時の音のまんまのマスター盤とデジタル・リマスタリング盤と両方出して下さいな。両方買うから。

メイスン+フェン「プロファイルズ」


85年作。フロイドのニック・メイソン(ds)のセカンド・ソロ・アルバム。10CCのリック・フェン(g)との共作。かつて日本盤がジャパン・オンリーで出た事はあったが、本国では今回、デジタル・リマスタリングしての初CD化。84年の『ファイナル・カット』発表の後、ロジャー・ウォーターズは解散を表明。ギルモアはセカンド・ソロの作成、メイソンはこのユニットを組み、映画『ホワイト・アイズ』のサントラやCM音楽を担当する。それらを集め、作品としての一貫性を持たせたのがコレ。明るいフュージョン・インスト・アルバムで、カリビアン調の『ライ・フォア・ア・ライ』ではギルモアもゲストでヴォーカルを取っている。UFOのダニー・ペイロネル(Key,Synth)も参加。フェンのギター・ワークも冴えており、評判も良かったのだが、この後メイソンもフロイドの再編騒動に巻き込まれ、この作品が唯一のものとなっている。

天国のソフト・マシーン


13年2月18日、ケヴィン・エアーズが亡くなってしまった。合掌・・(;_;)。晩年も聖なる酔っぱらいであり、死ぬまでボヘミアン気質だった。最後の一枚のソロ・アルバムを出したら、引退すると言っていたが、完成しているのだろうか。カンタベリー系のミュージシャンはしかし、早逝が多い。現在、あの世のマシーンのメンバーは、エルトン・ディーン(Sax)、ロル・コックスヒル(Sax)の2管に、ヒュー・ホッパー(b)、ピップ・パイル(ds)のリズム隊。アラン・ゴウエン(Key)がきらびやかなキーボード・ワークで迎え、スティーブ・ミラー(p,Key)がジャジーなピアノ・ワークを披露する。なんだ、マシーンどころかホール・ワールドもギルガメッシュも再結成出来るじゃあないの。まずは盟友のシド・バレットと酒でも酌み交わして欲しい。でも、もう死なないからってドラッグは辞めてね。

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プログレは楽しい。プログレは、音楽ジャンルではなく、新たな人生の思考法だ(=^・・^=)

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