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残酷!音楽怪獣プログレ

しがないプログレ好きで、よく中古盤を漁っています。ときどきライブなんぞにも行っておりやす。

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フランシス・リカーリッシュ「ファー・アンド・フォーガット・フロム・ロスト・ランズ」


13年作。元エニドのメンバー、フランシス・リカーリッシュ(g)の最新ソロ。今回はバンド名のシークレット・グリーンではなく、個人名義での発表だが、作風は全く一緒。大航海時代の移民たちを描いた、ロマンティックなストーリーのコンセプト・アルバムで、フル・オーケストラをバックに、屡々オペラチックになる女性ヴォーカルとリカーリッシュの荒ぶるギターが錯綜する。ギター・ワークはクラシカルではあるが、作風もあって初期のマイク・オールドフィールドっぽい展開が続く。クラシカルなプログレが好きな人向けの「無印良品」みたいな優良商品であり、オーケストラとリカーリッシュのギターが渾然一体となって迫って来るインパクトは感動的ですらあるが、もう少しはっちゃけても良いんじゃないですかね。日本盤の詳細な解説は読み応えあり。
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アレア「ライブ2012」


12年作。澤村有希・作の『摩楼館怪奇事件簿』はガチムチのルポライターと喫茶店『摩楼館』の美形のバーテンが心霊事件を追う、少しBL風味が入ったゴーストハンター物で、結構面白く、現在文庫本で2作目まで出ている。ところがこの二人、お店で聴いてるのがプログレ(ジャズ・ロック)なのである。フランク・ザッパやらアレアやら、これ、客はゆっくり出来なくて帰っちゃうんじゃないのか。あぁ、だからいつも二人しかいないのか。そのアレアは全盛期のメンバー3人が集まって、現在も勢力的に活動している。前回の来日は放射能が怖くていきなりドタキャンしたが、4月のイタリアン・プログ・ロック・フェスティヴァルには大トリで来るらしい。今度もゴネたらプログレ界のTATOOと呼ぶぞ。そのアレアの最新のライブ盤がコレ。政治的なメッセージ性はどうあれ、演奏力が落ちてないのは素晴らしいっす。

EL&P「ライブ・アット・シアター・ドルリー・レーン,71(DL販売)」


13年作。Woohoo!Live で発売された、発掘ライブ/ダウンロード販売盤の内の1枚。2枚組。『展覧会の絵』や『タルカス』など長尺物も演っていて、ボリュームはあるがちょっと大人しい。MP3とFLACで販売しているが、この辺のライブをFLACで聴いて音質的なメリットが有るのか、てのは難しい問題だ。あと、現在活躍中の若手アーティストなんかはDL販売で購入しても良いが、やっぱりこの時代の音源は「ブツ」が欲しい気がする。コレクターとしてはやはり形で揃えたいところで、このサイト、CD-R販売でも始めてくれないかな。在庫調整や発送の人件費を考えると、メーカー側では付帯費用を削減でき、ユーザー側もオン・デマンドで安価で入手出来る等、双方にメリットはあるのだが。このサイト、上手く行くのだろうか。

EL&P「ライブ・アット・ハリウッド・ボウル,71(DL販売)」


13年作。ダウンロード販売サイトのWoofoo!Live Archiveで、クラシック・ロックの発掘ライブ盤の販売を始めた。ラインナップの中で、プログレはEL&Pとナイス。EL&Pが5作、ナイスが4作、2枚組も含め全部で13枚もあり、ちょっと直ぐには購入なりレビューなり出来る枚数ではない。一応アーティストの了解を得て、リマスタリングはしてあるみたいだが、まさに公式海賊盤、音質も玉石混淆な出来で、おいおいこのブログでも紹介して行きます。まずは昔から有名なハリウッド・ボウル盤。大舞台と云う事でバンドもノリが良く、程良く演奏も狂ってて心地良し。音質は気にせずに『ロンド』に狂うのがベストな聴き方である。もっともこのサイト、1枚組が$9、2枚組が$11前後で、CDの値段と変わらず、そんなに安くはない。メリットはブートレグが西新宿まで行かなくても購入できてすぐ聴ける位な事ですかね。これが売れたらイエスやフロイドも出してくれるんでしょうか、期待大っす。

ピーター・バンクス「キャン・アイ・プレイ・ユー・サムシング?」


02年作。イエスの初代ギタリスト、ピーター・バンクスが亡くなったらしい。もしかしてイエスのメンバーでは初めて?初期メイベル・グリアーズ・トイショップ→イエスではピート・タウンゼントに影響を受けた演奏をしていたが飛び道具の多いスティーブ・ハウに取って変わられ、サイケデリック・プログのフラッシュを結成、3枚の佳作アルバムを残すが、その後70年代後半からはプログレッシブ・ロックの没落もあって失速、以降はニューエイジ風のギター・インスト・アルバムやアーカイブ盤、プログ・トリビュートのオムニバス盤等に顔を出す程度の不遇な活躍だった。もう一花位、咲かせて欲しかった・・・。これは2002年に発売された60年代後半~70年代前半のメイベル・グリアーズ・トイショップ、オリジナル・シン、イエスのライブのアーカイブ。音質劣悪だがまだ十代のバンクス、スクワイアやブルーフォードを思い浮かべながら聴くと、なかなか感慨深いものがある。合掌。

ヒュー・ホッパー「ベスト・ソフト」


96年作。ゴンゾ・マルチメディア社から、ソフト・マシーン、アイソトープ等に在籍した異能のベーシスト、故ヒュー・ホッパーの旧譜が続々再発される事となった。まず3月に『モンスター・バンド』と『クルーエル・バット・フェア』、4月にホッパー/クレイマー名義のスタジオ盤が2枚、同時にホッパー参加のデヴィッド・アレン/クレイマーが1枚。ホッパーが生涯で残した、作品世界の数はかなり膨大であり、今回の様にジャズ・ロックに特化した再発でも有難い。さて、特定のジャンルに拘らないミュージシャンのため、意外とベスト盤は少ない。ジャズ・ロック畑だと、ほぼ唯一のベスト盤がこれ。エルトン・ディーン(Sax)やピップ・パイル(ds)とのコラボ作から曲が取られているが、『1984』や『ホッパー・チューニティ・ボックス』等の代表作からはゼロ。やはり1枚ずつ集めるしかないのかね。

ニュー・イングランド「失われし魂」


79年作。アメリカン・プログレ・ハードの伝説的な名盤、これがファースト。キッスのポール・スタンレーがプロデュース、と云う話題が先行し、当時はヘヴィ・メタルにカテゴライズされていたが、実質のプロデュースはマイク・ストーンであり、つまりはジャーニー、エイジア、スティクスの系列。「哀愁を帯びた複雑な楽曲を、卓越した演奏力で聴かせる」パターンは、プログレ・ハードの王道であり、フォリナーよりもラフだが泣きメロも多い、と云った所か。捨て曲無しでどれもシングル・ヒットを狙える出来、に仕上げてある辺りは、エイジアのファーストを思い起こさせる。セカンドやライブ盤はレア盤のため、中古でも良い値段が付いているが、そう云うのが似合うバンドでも無いので、廉価盤再発とかそろそろして欲しい。必聴盤。

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