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残酷!音楽怪獣プログレ

しがないプログレ好きで、よく中古盤を漁っています。ときどきライブなんぞにも行っておりやす。

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イアン・カー・アンド・ニュークリアス「スリー・オブ・ア・カインド」


15年発表。こちらは良心的な方のゴンゾ・マルチメディア社。この「何でも出しちゃう」精神が良い方に働くか悪い方に働くか、最高の製品と最低の製品が同居するこの状況が何か見捨てられない動機なんだよなぁ。カンタベリー・ミュージック研究家の元締め、マイケル・キング。ヒュー・ホッパー未発表曲撰集全10巻を完結させた次の仕事はイアン・カー(tp)&ニュークリアス未発表曲撰集。巻数は不明だが、第2巻の発売は既に予告済。ニュークリアスはメンバーの大半が後にソフト・マシーンに流れた事により、プログ・ジャンル、ジャズ・ロックに分類される事が多いが、むしろエレクトリック・マイルスの時代に影響を受けたフュージョン、エレクトリック・ジャズに近い。「英国のマイルス」と呼ばれたイアン・カー率いる3つの時代の異なる編成でのライブを収録、それで「スリー・オブ・ア・カインド」と云う訳。シンフォニックな音を求める好事家には向かないかも知れないが、70年代に絶頂をむかえた極めて優れたフュージョン・バンドのライブ、一聴の価値はあります。
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マイク・オールドフィールド「ザ・スペース・ムーヴィー」


15年発表。トニー・パーマー監督のNASAアポロ計画10周年記念ドキュメンタリー映画、『ザ・スペース・ムーヴィー』の音楽はマイク・オールドフィールド担当、とは言っても『チューブラー・ベルズ』『ハージェスト・リッジ』『呪文』等からの曲の再利用、但しミックス違いやオーケストラ・バージョンが一部含まれる為、ファンはサントラは出ないのかなぁ、と切望していたが、今年とうとうゴンゾ・マルチメディア社から発売!と思いきや・・・映画のDVDとCDの2枚組、しかもCDは映画の音を「まんま」短縮して78分位に収録。流石腐っても腐ったままの伝説のヴォイスプリント社の社風の末裔。昔で云うドラマ編か?これはアレですな、映像版の権利しか買い取ってないのか、もう音楽だけのマスター・テープが残存してないか、どちらかですな。久々にプログレ関係で出た大物ブラフ製品。マイク・オールドフィールドのものなら何でも欲しい人向け、さもなくば普通のプログ・ファンは購入前に一考をお薦めします。

ダウンズ・ブレイド・アソシエーション「サバーバン・ゴースツ」


15年作。ウエットン闘病中の為、エイジア以外の課外活動に精を出すジェフ・ダウンズ(key)。人事部長逝去の為、イエスにしばらく集中するのかと思いきや、そちらは肝煎りのビリー・シャーウッドに任せ、再びクリス・ブレイド(Vo,g)とのユニット、DBAの2枚目に着手。前回はこんなん出して見ました、みたいな感じでデモ集みたいな感じだったが、今回は演奏メンバーも増え、プロダクション・ワークも豪華、専用HPも作成し本腰を入れた活動に入っている。共同作業に手応えを感じた、のも勿論あるだろうが、バグルス以降タイプの違う相棒と組んでの活動と云うのがこの人の性に合っているのだろう。エイジアだって、基本はウエットン+ダウンズだもんねぇ。さて2枚目の音だが、自然と80~90年代のエレポップ・ロックに回帰。ブレイドのアメリカン・ロック調のヴォーカルに対応した曲作りを為しており、非常に安定した歌モノアルバムになっている。このままイエスと併行活動して、来日公演まで行って欲しいものですな。

エルサレム「ブラック・ホーシズ」


14年作。突然変なものとか参加してるんで、追っかけも大変なジェフ・ダウンズ(Key)。今回はリンデン・ウィリアムズ(Vo,Per)のユニット、エルサレムに再び参加。前回はリンデンのサイケデリック・ロック・ユニットの復活作「デッキ・チェアー・ポエッツ」に参加していたが、今回のエルサレムは72年にリンデンが在籍していたハード・ロック・バンドの復活作。ダウンズ以外にもリンデンの人脈をフルに活用した、サイケ、ハード・ロック関連のゲストが9人もいる大所帯ユニットとなっている。ところが音の方はダウンズの参加、及び王道ポップ寄りのリンデンの資質により、極めてメロディアスなハード・ポップな演奏、早い話が「エイジア」っぽい方向性になっているのが面白い。ダウンズの現在活動中の他のユニット、DBAよりも遥かに80年代っぽい音作り。全然話題にもならなかった1枚だが、エイジアやハード・プログレが好きな趣味人には納得の出来る作品かも。

オザンナ「ザ・ベスト・オブ・イタリアン・ロック Vol.1」


15年作。本年7月に行われた、「オザンナたっぷり4時間公演・ゲストもいるよ!」のライブ盤、商品化。何せ休憩も入れて4時間ちょい、ゲストもジャンニ・レオーネ(Key)、デヴィッド・ジャクソン(Sax)は元々セミレギュラーだから当然として、コンラッド・ルスティチ(g、メロス在籍、オザンナにも一時参加)、ジェニー・ソレンティー(Vo,サン・ジェスト在籍),おまけにアンコールでバンコのナンバーまで追悼演奏する豪華版。さながら「それ行け!オザンナと愉快な仲間たちで送る70年代イタリアン・プログレの集い」。2枚組だが、当然2時間強に収まる訳もないので、ライブで売りだった名盤『パレポリ』、及び新譜の続編『パレポリターナ』全曲演奏、はまるまるカット。一応呼んだ義理もあるのか、その代わりゲスト陣の演奏は比較的残されており、オザンナのライブ盤なのにオザンナの演奏が少ない、と云うなんか変わったCDとなっている。ライブを見た人なら記念盤。それ以外の人はちょっと微妙な感じかも。

U.K「カーテン・コール」


13年作。この年、エディ・ジョブソン(Key,Violin)デビュー40周年記念と云う事で、本人のソロ公演とU.Kの再々々来日公演を各1日ずつ、川崎のクラブ・チッタで行った。これはそのU.K公演の完全収録盤。メンバーはジョブソン、ウエットンの他にはアレックス・マハチェク(g)、マルコ・ミネマン(ds)と1回目の来日と同じ若手技術屋集団。『憂国の四士』『デンジャー・マネー』及び70年代の全ての発表曲を全曲演奏、なのが今回の売り。(しかしシングルB面の『ウェン・ウィル・ユー・リアライズ』が入ってない様な・・・あれはウエットンがリメイクしてるからカウント外なのか?)ライブ盤ではあるが、ジョブソン本人のリマスタリング、完璧主義者の性格が今回はメリットに働いて、近年稀な程、極めて音質の良い製品となっている。タイトルの通り、この後の国内中野サンプラザ公演を終え、U.Kの活動終了声明が出されており、公式にU.K名義で最後のライブ盤となる模様。プロレスラーの引退と同じく、ミュージシャンの解散も眉唾な所があるが、ウエットンの体調も併せこちらはかなり現実的だねぇ。

グレッグ・レイク&ジェフ・ダウンズ「ライド・ザ・タイガー」


15年発表。90~91年、ユニヴァーサルとのソロ契約を優先し、再結成エイジアを脱退したウエットン、残されたジェフ・ダウンズ(Key)はグレッグ・レイク(Vo,b)に接近、マイケル・ジャイルズ(ds)を伴いEL&Pタイプのユニット『ライド・ザ・タイガー』を結成し、数曲のデモを作る。が、なかなかレコード会社との契約に結びつかず、そうこうしている内にレイクは新興ヴィクトリー・レコード社のEL&P再結成の話に乗り、ユニットは決裂。ダウンズはサイモン・フィリップス(ds)とのユニット『レイン』、マックス・ベーコン(Vo)入りのエイジア等を試すが、結局ELOパートⅡを退社したジョン・ペインと組む事になる。今回はようやくそのデモ・テープの全曲(と言っても7曲だけ)の商品化。過去に其々のアンソロジー等に数曲は発表済みで、後にエイジアFJP『アクア』で1曲、EL&P『ブラック・ムーン』『イン・ザ・ホット・シート』で各1曲ずつが再利用された。音質はデモ録音のリマスタリングだからねぇ、お察し下さい。

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