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残酷!音楽怪獣プログレ

しがないプログレ好きで、よく中古盤を漁っています。ときどきライブなんぞにも行っておりやす。

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サムライ・オブ・プログ「ロスト・アンド・ファウンド」


16年作。ディープなプログレ・マニアでもあり、メジャーからマイナーまで幅広くプログレの名作を超絶技巧でカヴァーするサムライ・オブ・プログ、4作目のフル・アルバムは、「英米加のプレミアが付いている超レアなマイナーなプログレ・バンド」群の、「LPとして発表しなかった未発表曲」だけのカヴァー・アルバム、と言う展開。何を言ってるか解りますか?しかもそのバンドのオリジナル・メンバーを招聘して来て、それぞれの曲で何らかの形で客演させている。もはや病膏肓、いったい誰と闘っているんだ?と言う感じ。しかし、選ばれた曲はみなかなり水準の高いシンフォニック・プログ・ナンバーであり、メンバーの選択眼の確かさが伺える。しかしオリジナル盤は全てプレミア盤であり、どう変えてアレンジしているか全く判らないこの隔靴掻痒感、うーむ。これをやっちゃったら5作目は何をするんだろうとか、恐らくその辺を全く考えずにやっちゃってる突っ走り感も含め、正しくマニアの制作した謹呈作品であり、中身はともあれ多くのプログ・マニアにも聞いて欲しい手のかかったアルバム。売れればプレミア付いてるアルバム、CD化したりするしね。
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ジョン・カーペンター「ゴースト・ハンターズ(30周年特別版)」


86年作。BGMを全て収録した2枚組で新装再発。カート・ラッセル扮するトラックの運ちゃんグループが、ひょんなことからNYの中華街に巣食う中国妖怪軍団に立ち向かう。公開元はSFX満載のジェットコースター・ムーヴィーを期待したらしいが、全体的にオフビートなギャグが満載、ダラダラした展開にやり過ぎた悪ふざけの多いアクション・シーンが続くカルト作品に。当然興行は惨敗したが、こんなもん、カーペンターに撮らせる方が悪い。日本の『子連れ狼』の『虎落笛』編にインスパイアされた、用心棒妖怪三人衆、雨・雷・風が一番面白い。カーペンターは主題歌まで自分で歌う悪ノリっぷりだが、BGMはアクション映画の為、効果音的な使われ方をするシーケンス曲が殆どで、あまりいつもの印象的なメロディーは見られない。中華風の変なアクション・テーマは面白いが、従来ノリの楽曲は、僅かに『ポークチョップ・エクスプレス』がそれっぽい程度。このCD自体、カーペンターのマニア向けかしらん。

ジョン・カーペンター「ダークスター」


74年作。ジョン・カーペンターのオリジナル曲の作品集『ロスト・シームズⅠ』『同Ⅱ』、売れているらしい。オフビート・テクノ、若しくはレア・グルーブのミュージシャンとして改めて評価されている模様。何とまぁ・・・。その関係か、過去のサントラも何枚か新装再発。まずはデビュー作『ダークスター』。ブルー・カラーの乗組員たちの乗る惑星探査船にて、色々大変な事件が発生。乗組員のペットだったビーチボール型の生物も反乱。仲間が死んだりして色々解決を目指すが、間に合わず遂に宇宙船は爆破。主人公はアメコムのシルヴァー・サーファーの様に、宇宙船の破片でサーフィンをしながら太陽に吸い込まれていく。ダルでダウナー、ブラックなギャグ満載の低予算SFの傑作。このCDは映画を60分に纏め台詞も収録した、所謂「ドラマ編」。BGMの1曲は後に『ハロウィン』の『ローリーのテーマ』としで再利用されている。アラン・ハワース、ドミニク・ハウザーと盟友たちによる再演奏版ボートラ追加。カントリー曲『ベンソン・アリゾナ』の画面との異化効果が半端ない。

フランシス・ダナリー「ヴァンパイアズ」


16年作。元イット・バイツ、フランシス・ダナリー(Vo,g)の新作は、何とイット・バイツのセルフ・カヴァー集。2枚組。現在のダナリーの音楽性とイット・バイツの音楽性は隔たりがあり、これまで敬遠していた節もあるのに、どういう心境の変化か。タイトルの『ヴァンパイアズ』は、前作が将来を嘱望されながらも夭折した実兄の楽曲を演奏したもので、不幸な生まれ方をした楽曲たちと言う事で『フランケンシュタイン』、その続編だから『ヴァンパイアズ』なのか。すると次回作は『ワーウルフ』か?それでも「ポップに聞き流せるが、実際はかなり高度な演奏をしている」イット・バイツの楽曲に現在のバック・バンドで果敢に取り組んでおり、演奏内容も上々、曲によってはハード・メタル風にアレンジし直したりもしているが、相対的に悪くない出来。イット・バイツの再録ベスト盤、の趣きもあり、80年代のポンプ・ロック、ハード・プログレ系のファンに取っては必聴盤とも言えそうだ。改めて聞いて見ると、良い曲が多いなぁ。

ウェイン・ウェイクマン・ピーク「ビヨンド・ザ・プラネット」


85年作。またしてもウェイクマン関連作の再発。ジェフ・ウェインは,複数のロック・ミュージシャンを起用したコンセプト・アルバム『宇宙戦争』で売りだしたお方で、時々思い出した様に企画物のコンセプト・アルバムを発表し続けている。(しかも英国内では全てそれなりに売れている)。これは85年に手がけた作品でホルストの『惑星』をシンセ・アレンジ。ウェイン作曲の数曲も追加され『ビヨンド~』と云う訳。実演奏者はリック・ウェイクマン(Key,Synth)と元スカイの故ケヴィン・ピーク(g)。『惑星』のデジタル・アレンジは大トミタの畢竟の傑作が70年代に既にあり、ご存じの様にクリムゾンの『デヴィルズ・トライアングル』、EL&パウエルの『火星~戦争をもたらすもの』、等度々プログ界隈ではカヴァーされているもの。それではウェイクマン・バージョンは、と言えばこれが意外なほど原曲に忠実。いつもの手癖が無く、プロデュースするウェインの采配か、むしろ80年代の機材で再演したトミタ版『惑星』の趣さえある。大ウェイクマンと言え、やはりデジタル版『惑星』はトミタに始まりトミタに終わるのか・・・。

ピンク・フロイド「レア・ライブ・インスツルメンツ1969-1971」



69~71年作。著作権法の(以下略)、Top Gearレーベルのフロイド第5弾は、69~71年のレア・ライブ・テイク集。『シシファス組曲』『モアのブルース』等、早々とセット・リストから消えた珍しいパフォーマンスを中心に収録されている。フランク・ザッパ・バンドと共演した『星空のドライブ』なんてのも収録。当然全てオーディエンス録音、音質は推して知るべしだが、まぁ記録性を重視と言う事で。このレーベルの発売順、初期のブートレグCDのラインナップの過程をまんまなぞっているのが興味深い。BBCセッション、音質の良いライブのオーディエンス録音、ラジオやTVのレア・パフォーマンス音源・・・と90年代のCDメディアでのブートレグの進化、そのまんまである。デジタル・データの多様化により、音楽メディアの著作権法での対応は各国により異なるため現在はかなり混乱期。その為ここのメーカーの様に「放送用音源は放送した局側に著作権あり」とする国の法律を盾にとり、ブートレグ音源を公式に発売出来る状況も生まれて来てる訳である。このままクラシックやジャズの様に混乱したまま突き進んでいくのか、それとも演奏者の存命が多いロック・フィールドはまた異なる実例が増えて行くのか、音楽の内容よりもこちらの方が今後目が離せない?

ピンク・フロイド「ライブ・イン・モントルー1970」


70年作。著作権法の網をかいくぐり(以下略)、Top Gearレーベルの(法的には)公式ライブ・シリーズのフロイド第4弾は、1970年のモントルー・フェスティバル音源。2枚組。ブートでは超有名音源であり、オーディエンス録音ながら高音質、演奏内容も良い優良品。当初は『ウマグマⅡ』として発売予定があり、当時の所属レーベルEMIによるライン録音音源も存在する、と噂されているが、そちらは未だ流出した事はない。今回発売分は、数十年メーカーを変えて何回も別なブートレグで発売され続けている、ベーシック・ミックス。リマスタリングはされていないが、元ネタが高音質なのでまぁ可もなく不可もなし、な感じ。著名テーパーによるステレオ・高音質なこれとは別のオーディエンス録音音源も存在する。『神秘』『太陽讃歌』『ユージン、斧に気をつけろ』等、この時期のフロイド・クラシックスがひと通り演奏されているので、フロイド・ファンは持っていて損はない一枚。でも、大抵の人はもうブートレグで買っちゃってるよね(笑)。

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