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残酷!音楽怪獣プログレ

しがないプログレ好きで、よく中古盤を漁っています。ときどきライブなんぞにも行っておりやす。

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V.A「ザ・メニー・フェイシズ・オブ・キング・クリムゾン」


16年発表。バンドの本体以外、ソロ曲やレア曲を集めて廉価なコンピレーション3枚組として発売する「メニー・フェイシズ」シリーズ、プログレ以外にガンズ・アンド・ローゼズ、ダフト・パンク等も色々出しているのだが、5大バンドのうちクリムゾンだけは発売が無かった。新旧メンバーもフリップ経営のディシプリン・レーベルに所属している事が多く、権利的に難しいのだろうな、と推測していたが、ようやく発売されたクリムゾン・バージョン。当然かなり苦しいと言うか大胆な編集の内容。Disc1は新旧メンバーが客演したイオナ、ジョニー・ワーマン等権利が引っ掛からないレア曲をせこせこと召集、Disc2は前身バンド、ジャイルズ・ジャイルズ&フリップの発掘デモ盤『ブロンズベリー・テープス』から代表曲をアブリッジド収録。Disc3は21センチュリー・シゾイド・バンドの客演から生まれたエイドリアン・ブリュー、メル・コリンズ、故イアン・ウォーレス参加のセッション・バンド「フィッション・トリップ」の1stをまるっと収録。内容はブリューがリード・ヴォーカルのサイケデリック・プログと言う感じ。とまぁ。今回はかなり苦労の跡が見られるコンピレーション、その努力に免じて購入しても悪く無いと思いますよ。^^;
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スティーブ・ハケット「ザ・トータル・ライブ・エクスペリエンス・ライブ・イン・ヨーロッパ」


16年作。新作『ウルフパック』が売上も内容も高評価で波にノッてるスティーブ・ハケット(Vo,g)、スタジオ盤聞いたら次はライブ盤が欲しくなるよね、と言う訳で出してきました最新ツアーからの新作ライブ盤。CD2枚+映像版DVD2枚の大作、つまりそれでも「売れる」とマネージメントに判断されたのだろう。個人的には現在の大物プログ・バンドではイエス、エイジア、そしてこのハケット・バンドが演奏の安定感、充実度が白眉だと思う。ハケットの強みはとにかく「良い曲を沢山持っている」事だろう。初期のソロのプログレ風味の強いナンバー、ジェネシス期のヒット曲、80年代以降のポップなソロの楽曲。この辺がランダムに日替わりで、しかも高い演奏技術で次から次へと披露されるのでオールド・プログ・ファンは堪らない^^。テクニカルなギタリストでもあるのだが、最近は無闇に独奏タイムにひけらかす事はせず、ライブを総合で楽しめる「ショー」として邁進中の節も見受けられる。この好調な快進撃はまだ暫く続くだろう。本年の日本公演をフル収録した同型のCDも発売予定。

キース・エマーソン「ナイトホークス」


81年作。エマーソン追悼盤?第2弾はアメリカ映画『ナイトホークス』のサントラ盤。音源だけならアンソロジー『アット・ザ・ムーヴィーズ』に全曲集録されているが、単体CDでの再発は今回お初。シルベスター・スタローン扮するNY市警の敏腕刑事が、残忍なテロ行為を繰り返すルトガー・ハウアー、パーシス・カンパータ達のテロリスト・グループに立ち向かう。ジョー・スピネルもちょこっと出演。まるで松田優作の映画の山西道広だ(笑)。エマーソンは初めてポリ・シンセを使用、キレのあるアクション映画のサントラに仕上げており、その後のエマーソンの音楽活動の中でもある意味重要作。エマーソン生涯唯一のヴォーカル曲『アイム・ア・マン』も披露、この曲も格好良い。♬てってってーててドコドコドコドコ♬前作『インフェルノ』『ホンキ-』でやりたい事をやったから、吹っ切れてプロの作曲家に徹したのだろう。この調子で活動を続ければ、サントラ作家としてお金持ちになれたかも知れないのだが、ハリウッドのそれなりの大作なので色々作品に横槍が入り、快く思わなかったエマーソン、以降は自分でコントロールの効く低予算映画の活動にシフトして行く。♬トレヴァ~ラ~ヴィンに~なれ~なかったよ~(;_;)♬

フォーカス「フォーカス8.5/ビヨンド・ザ・ホライズン」


05年作。『フォーカス8』の後、制作はされたが未発売となったアルバム、本年(16年)発掘再発。最も、フォーカスのアルバム恒例のナンバリングは付いているが、内容はフォーカスのタイス・ヴァン・レアー(Vo,Flute)とピエール・ヴァン・リンデン(ds)の二人が再結成ツアー時に現地のフリー・ジャズ系のミュージシャン、ボビー・ジェイコブス(b)、ヤン・ダミー(g)と共演した、セッション・アルバム。その為、従来のフォーカスのアルバムとはかなり質感が違い、リズム隊の活躍が目立つライト・フュージョン・アルバムとなっている。当然もう独りのリーダー、ヤン・アッカーマン(g)は不在。演奏の質は高いが、フォーカスと言う「プログレッシブ・ロック・バンド」に何を求めるか、に因って印象はだいぶ違って来るだろう。今回の発売元はバンドのオーナー・レーベル、今後英国と欧州での再結成ライブ2種、『X』のリマスター再発、また他社からもFM音源による70年代のラジオ‥ライブ発掘盤、と好調なリリースが予定されている。また再度来日を!

アンダーソン/ストルト「インベージョン・オブ・ナレッジ」


16年作。ジョン・アンダーソン(Vo) の新作は、元カイパ、フラワー・キングス在籍のシンフォニック・プログ新世代のホープ、ロイネ・ストルト(g,Key他)との共作スタジオ盤。このところ、イエス関連の人脈の作品の充実度が凄まじい。アンダーソン、常にソロはコンセプトをかっちり決めて提示して来る人であり、前作のアンダーソン・ポンティ・バンドも優れたヴァイオリン・プログのライブ盤だったが、今回は長尺物全4曲の「ど真ん中」なシンフォニック・プログ・アルバム。ストルトの激しい転調の楽曲をアンダーソンのクリスタル・ヴォイスが歌い上げ、ファンの間ではイエスの全盛期の作品と比べても遜色ない、とかなりの高評価。内容はどちらかと言うと、カイパ時代にレイド・バックしたかの様なストルトの個性が十全に発揮された、70~80年代期のポンプ・ロックと言う感じだが、アンダーソンの歌声が全てを塗り替える。70過ぎてもこの「声」のカリスマ性が素晴らしい。敢えてイエスの旧盤からだと『海洋地形学の物語』が一番近い路線?この年末には分家イエス「アンダーソン・ウェイクマン&ラヴィン」も始まり、いよいよ本家に対するアンダーソンの逆襲が始まるのか?!

サーカ「ヴァレー・オブ・ア・ウインドミル~風車の谷の物語」


16年作。ビリー・シャーウッドのこれまでのソロは、本人名義が音響派入ったアンビエント・プログレ+歌物、ハウス・バンドのサーカはトニー・ケイ(Key,Org)を擁したハード・プログレ・・とまぁ大雑把に言えば切り分けが為されていたのだが、ソロ名義の前作『ザ・シチズン』では信じられない位大量のゲストを呼んでのハード・プログレ・アルバム(一応タロット関連のコンセプト・アルバム)を製作。イエスへの正社員登用おめでとうパーティー!みたいなノリだとか、サーカはそうすると今後のアドバンテージはトニーの在籍だけ?だとか、前回結構嫌味を書いたが、がらりと路線変更して来ましたサーカの新譜。長尺物の全4曲、メロディアスかつテクニカルな堂々たるシンフォニック・プログ・アルバム。何だ、やれば出来るじゃん、とか茶化しちゃあいけないが、近年稀に見る完成度の高いプログレッシブ・ロック作品である事は確か。最も、この路線変更も現イエスのファン層をしたたかに見据えての販売戦略、と見ればその敏腕プロデューサー振りには頭が下がるのだが・・・それでも傑作なので皆さん買って下さい。日本盤にはクリス・スクワイアへの追悼曲がボートラ収録。これまでの経緯を知っていると泣ける(;_;)。

リック・ウェイクマン「アーサー王と円卓の騎士たち(新録・完全版)」

16年作。『地底探検』に続き、『アーサー王』も新録・完全版の発売。2枚組。『地底~』は18分強の新曲追加だったが、今回はプラスCD1枚分の新曲追加の大盤振る舞い。バックも前作同様オリオン・オーケストラ。新曲が旧曲と並んでも違和感がないのは流石。昨年からのウェイクマンの復活っぷりは獅子奮迅の如く凄まじく、新譜や編集版の発表、オーナー・レーベルからレア盤を中心とした旧譜の再発、A&Mから『地底探検』デラックス版の発売、プログレ専門レーベル各社から80~2000年代の旧作ライブの各種再発、そして年末にはアンダーソン・ウェイクマン・ラビンとしてのツアー開始、等文章にするだけでも老いて増々盛ん、と言う感じがする。この他にも『オペラ座の怪人』映画使用BGMを含む完全版、『ニュー・ゴスペル』完全版、前述オリオン・オーケストラとの共演によるニュー・エイジ・アルバムと予定が目白押し。「月刊リック・ウェイクマン」の時代が再び巡ってくるとは・・・。

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プログレは楽しい。プログレは、音楽ジャンルではなく、新たな人生の思考法だ(=^・・^=)

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