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残酷!音楽怪獣プログレ

しがないプログレ好きで、よく中古盤を漁っています。ときどきライブなんぞにも行っておりやす。

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タンジェリン・ドリーム「ライブ!インプロヴァイズド!」


アマゾンで「Nico,Tangerine Dream」名義の新譜、「Live At Reims Cathedral,Dec 13 1974」が10月に予約開始、この度ようやく発売したが、Nicoのパートだけが収録された1枚モノのライブ盤だった。これ、殆ど詐欺じゃないか。登録の間違いだとしても、私みたいにタンジェリンのパート目当てに購入した人、結構いるような気もするのだが・・・(バックの演奏にタンジェリンのメンバーがいる可能性は無くもないが)。腹が立ったので、ブートレグを紹介してしまえ。この日はNicoとの合同ライブで、逆にタンジェリンのパートだけを収録したものがこれ。90年代に良質のブートを出していたイタリアの「Oh!Boy」レーベルのもので、46分、38分のインプロビゼーション演奏を収録。英ヴァージンと契約したばかりの時期なので、当時の「前衛シンセ・バンド」タンジェリンの立ち位置が判る、レアな時期の演奏を捉えている。こっちも公式盤で出して下さいよ~。
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ブライアン・オーガー「ランゲージ・オブ・ザ・ハート」


12年作。ブライアン・オーガー(Key,Synth,Vo)久しぶりの新作。70年代にはジャズ・ロックの範疇に入っていた人だが、近年は海外でもジャズ・フュージョンにカテゴライズされている。本人に取っては、ジャンル分けなぞ、余り意味を成さない事だと思うが・・・。新作はバンド形式のオブリビオン・エクスプレス名義ではなく、ソロ名義になっているのは、今回はかなり「歌もの」としての性格が強いからだと思う。勿論、本人のキーボード・ソロ、オルガン・ソロもたっぷり。曲調に関しては70年代以降から変わっておらず、むしろ日本人好みのタメのある「ブライアン節」を聴かせるボーカル・トラックは懐かしくもある。超絶インスト系に逃げず、歌心を大切にしたアルバムを作り続けているのが、ボブ・ジェームズ辺りとは対極の人気の差だろう。次作はオブリビオン・エクスプレスのライブ盤辺りかな。

トラヴィス&フリップ「フォロー」

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12年作。ロバート・フリップ御大(g,Synth)とソフト・マシーン・レガシーのテオ・トラヴィス(as,ts,fl)のデュオ作、3作目。フリップのサウンドスケープにトラヴィスの管楽器が絡み、対話形式でインプロビゼーションを繰り広げる展開。フリップのソロのサウンドスケープ・シリーズは、クリムゾンの「動」に対して、「静」を担う役割を為して来たが、クリムゾンの行き先が不透明な現在、この手の作品はどう扱ったら良いのか、ファンとしても困っちゃうんじゃなかろうか。ジャズ的なインタープレイの快感を求める訳にも行かないし、一種の環境音楽、夜半に作業をする時のBGMとかどうだろう。最近のクリムゾンのCDの例に漏れず、DVD5.1CHオーディオ・ミックス付き。コレで値段が上がってるのなら、CD盤だけも出して欲しい。

リック・ウェイクマン「地底探検 新録版・ファンパック」


12年作。とうとう発売、「やっちゃった」感のある必殺の一作、代表作「地底探検」スタジオ再録版。
過去のバンド形式とは異なり、オリオン交響楽団+イングリッシュ・チャンバー・コーラスとの共演、つまりオリジナル盤の「完全再演」。ナレーションは故デヴィッド・ヘミングスに代わりピート・イーガン、バンド・メンバーは盟友トニー・フェルナンデス(Ds)、アシュレイ・ホルト(vo)、ハーレイ・サンダースン(Vo)、リー・ポメロイ(b)、デイブ・コルコーン(g)。ハーレイの女性ボーカルを混じえた18分の、当時カットされたパートも再現されている。結論から言うと、オリジナル盤は当時の録音機材の関係で、オーケストラとシンセサイザーのパートが乖離して聴こえるが、今回の新録では全ての音が渾然一体となって迫って来て、その作品としてのスケールの大きさに改めて圧倒される。十二分に意義のある再演であり、リックの近年のアルバムの中でも最上位に位置する傑作と言えるだろう。「ファンパック」にはポスター、74年のツアー・パンフ復刻版、リックのバイオグラフィーと主要アルバムを解説した132ページのマガジンが付属。コレで19.99$。みんな買え!!!

バンコ・デル・ムットゥオ・ソッコルソ「クアランタ」


12年作。一昨年行われた、イタリアン・プログ・フェスティバルの1回目、トリのバンコの出番だけを単独CD化。ジョン・ウェットン・バンドとの共演曲もあったらしいが、権利関係でカット。現在のバンコは、若手メンバーも交えて7人編成で、70年代プログ時代の曲を中心に演奏している。80年代ポップ時代の曲も、注目されないが名曲も多いのだが、本国でも「モビーディック」位しかライブでは演奏されていない。近年のバンコは、93年の「IL 13」を最後にスタジオ盤を発表せず、専ら大舞台でのライブ活動に専念している。米英の「大物」ロック・バンドも同様の道を辿り、もはやCDの印税に頼って新譜を出すバンドはあまり存在しない。状況は解るが、オールド・ファン向けにまたスタジオ盤も制作して欲しいものである。演奏内容は、過去のヒット・パレードに終始しているが、こなれていて悪くはない。

デヴィッド・アレン・トリオ「ライブ 1963」


89年発売だが、題名通り1963年の発掘ライブ。
デヴィッド・アレン(G、Poet)、ロバート・ワイアット(Ds)、ヒュー・ホッパー(b)にマイク・ラトリッジ(Org)の客演。平たく言ってソフト・マシーン(+ゴング)前史だが、後にそれぞれカンタベリーの重鎮となる面子が揃っているのが凄い。日本で言うと、「はっぴいえんど」みたいなもんか?内容は、フリー・ジャズっぽい演奏にビートを少々、ケヴィン・エアーズ云う所の「何だか良く判らない音楽」に、アレンのポエトリー・リーディング(詩の朗読)が絡む。ビートルズ関係からニール・イネスとマイク・マクギアのグリムズを聴いている人は、あんな感じと思って下さい。どうも「詩の朗読とフリーな演奏」は、こっから10年位、割りと有効なアヴァンギャルドのパターンだったらしい。音質劣悪だが、こんなもん買う人で音質をガタガタ云う人はいないと思う。

ジャッコ・ジャグスジグ「ロマンティック・グリー・クラブ」


06年作。大物プログレ・バンドには、80年代以降、「楽器のマルチ演奏の出来るプロデューサー体質の若手ミュージシャン」が付き、バンドを延命させ、現在に至る・・と云うパターンが多い。その嚆矢はイエスのトレヴァー・ラビン、後にビリー・シャーウッド。EL&Pにはロバート・ベリー。そしてクリムゾンにはこのジャッコ。この人、活動期間が長い割には、イマイチ知名度が低い。(名前の呼び方もヤッコとかジャグジグとかバラバラだった。)一つの理由としてはこの人、活動が多彩且つ多才過ぎて、足跡を追いかけるのがかなり難しい。かなり大雑把に言うと「ジャパン、ミック・カーン等のニューウエイブ周辺」「ソフト・マシーン系のカンタベリー周辺」「21センチュリー・シゾイド・バンドへの参加によるクリムゾン周辺」の3つが大きな柱か。それぞれでかなりの業績を残しており、実は大した人なのである。ソロ・アルバムも5枚程発表しており、唯一国内盤が発売されたのがコレ。90年代以降の哀愁のあるポンプ・ロックであり、やはり一面しか見えて来ないのが難点。マイケル・ジャイルズの娘婿だそうである。

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