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残酷!音楽怪獣プログレ

しがないプログレ好きで、よく中古盤を漁っています。ときどきライブなんぞにも行っておりやす。

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リック・ウェイクマン「ライブ・ウイズ・シンフォニー・オーケストラ」


なんかいきなり発売されてた。マエストロ、相変わらず刊行ペースが早いなぁ。
旧譜の再発だとしても、まぁ良いかと思って購入したが、2011年のオーケストラ帯同の、南米ツアーの音源と云う新作。過去にもブエノスアイレス・ライブとか、キューバ・ライブのDVDとか、そっち方面にもファンの多いリック・ウェイクマン。ライブの契約条項に「ケープを着て演奏する事」とかあるらしい。と云うわけで早速聴いてみたが、去年のPFMのように「ウェイクマン・バンドとオーケストラが同時に演奏」ではなくて、「オーケストラの中でソロ・ピアニストとしてウェイクマンが演奏」と云うパターン。この手があったか。まぁプログレをオーケストラと演奏すると、結構音がごちゃごちゃして、意外と対費用効果が挙げられない事が多いので、この方が聴きやすくて宜しい。
アルバム「サーク・ドゥ・ソレイユ」中の隠れた名曲「ザ・ジグ」が割りと拾い物^^;。

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ビーチ・ボーイズ「神の創りしラジオ」



今年発表されたアルバム郡の中でも、出色の出来のコンセプト・アルバム。
ジャンル的にはプログレ・バンドではないが、ここに入れてしまおう。ブライアン・ウィルスンが何十年ぶりに帰って来たとか、色々あるみたいだが、何も情報を入れずにまっさらで聴いて欲しい。1950年台の、アメリカの、幸福な夏への憧憬・・・それはリスナー個々人の、幸福な季節への思い出とつながる。インスト「あの頃に・・」で始まり、音楽と人生の邂逅を描いた「神の創りしラジオ」へ続いていく。輝いていた懐かしい季節、それを豪奢なコーラス・ワークで染め上げていく手法は美しく、やがて終曲「過ぎゆく夏」に収斂させて行く。
このテーマ、プログレ・オンリーのバンドではなかなか作品としては少なく、(リア充が少ない為でしょうか・・・^^;)もっと出てきても良いのではないでしょうか。何も墓碑銘や暗黒だけが、プログレの「コンセプト」ではない筈だ。個人的には歴史的名作のコンセプト・アルバム「スマイル」よりも、こっちの方が好きです。

ニュー・ダンス・オーケストラ「エレクトロニカ」



ジェフ・ダウンズ、2012年現在最新のソロ・アルバム・・・と云うよりは、エイジアとは別働隊の、モストリー・オータムの女性ヴォーカル、アン・マリー・ヘルダーとの現在進行形のユニット。(アルバム名義にも、ダウンズの名は無い)しかしこの人、バグルス時代にも「テクノポップ」なんてまんまのタイトル曲があったよなぁ。
内容はタイトルからも判る通り、アン・マリーのヴォーカルを配し、エレクトロニカ系のサンプリングされた楽曲をダウンズが演奏している。
ちょっと面白いのは、作曲がいわゆる「ダウンズ節」を極力配し、別人のようなメロディーを提供していること。この人、第2期エイジアのときに、ジョン・ペインと一緒に「クイーン風」「ELO風」のパロディ曲をメインの合間に作って遊んでいたそうで、今回も単にDJごっこで遊んで見たかっただけなのかも。やはりこの人のソロはレクレーションの一環なのかもしれない。

ジェフ・ダウンズ「コレクション」


ジェフ・ダウンズ、ここまでのソロ・アルバムのベスト盤。「ボックス・ヒュマーナ」「ワールド・サーヴィス」「エボリューション」辺りの、短めの曲を中心にコンパイルされている。聴きやすい傾向の曲を、まとめて聴けるのは良いのだが、プログレ系ミュージシャンのベストに共通している「このベストを聴いてもジェフ・ダウンズの音楽の全貌は何も判らない」ところまで、同じである。困ったもんだ。
イエスのようやく作品化された、「フライ・フロム・ヒア」のデモ・バージョン、コーグ・サンプラーに提供した「ラジオ・スターの悲劇」デモも収録。本作は、グレン・ヒューズとの共作デモ集「ワークス・テープス」とのカップリングでの2枚組でも発売されており、こちらの方が値段的にお得かも。

ジェフ・ダウンズ「シャドウズ・アンド・リフレクションズ」


ジェフ・ダウンズの6thソロ・アルバム。「シンセサイザーによるシンフォニー」シリーズの第3弾だが、ファンからの毀誉褒貶が最も激しいアルバム。20数分の「シャドウズ」と「リフレクションズ」の2曲が入っているが、「メロディーらしいメロディーが無い」「アンビエント系に転身したのか」「カウベルが五月蝿い」と、まぁ、散々である。「このCDの収益は、恵まれない才能のジェフ・ダウンズの口座に寄付しまぁす♫」なんて、くだらない事がジャケに書いてあるのも火に油を注いでいる。
これ、例えばペンデレツキ等の、現代音楽のシンセ・バージョンを目指した作品ではないのだろうか。その視点から聞けば、妙に無調の展開が続くのも理解出来るし、若干宗教音楽的なパートがあるのも判る。別視点からの評価が望まれるアルバムである。

ジェフ・ダウンズ「ザ・ブリッジ」


ジェフ・ダウンズの5thソロ・アルバム。「シンセサイザーによるシンフォニー」シリーズの第2弾。30分近い「ザ・ブリッジ」のスタジオ・バージョンと、ライブ・バージョンが入っている。エイジアの最新シングルのタイトルにもブリッジが入っていたし、ダウンズ、橋が好きなのか。ライブの方は珍しくエイジアの「ドント・クライ」「フリー」等もやっている。このシリーズ、どういうファン層に向けて発信しているのだろう。エイジア、バグルス等のファンには響く音楽ではないし、ヒーリング・ミュージックやアンビエント系の人向けなのだろうか。人の曲を作る時には、あれだけメジャーの売れ線狙いの曲を書くくせに、自分のソロになると途端にジャンル分けの難しい音楽をやりだす。この人の頭の中は面白い。

ジェフ・ダウンズ「ワールド・サーヴィス」


ジェフ・ダウンズの4ndソロ・アルバム。子供の頃、BBCのワールド・サーヴィスから聞こえてきた世界の都市のイメージを、コンセプト・アルバム化したもの。1~2分の短いインストが、30曲も連続で入っていて、さながら「タンジェリン・ドリームのサントラのサンプラー」。全てが短いフレーズの断片であり、もう少し展開させて欲しいな、と云う所で終わってしまうのがちょっと残念。
作家の星新一に、「できそこない博物館」と云う、作品化出来なかったアイデアやメモの断片をまとめて紹介したものがあるが、あんな感じなのかも知れない。ダウンズ特有のメロディー・ラインの、発想の端初を知るには最適の1枚かも。

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