06年発売だが、録音は73年~78年前後のもの。元P-MODELの平沢進は、70年台前半に伝説のプログレ・バンド、マンドレイクを主催していたが、活動中に公式盤を1枚も発表する事なく終わっている。このCDはその頃のデモ・テープ、隠し撮りのライブ音源を発掘し、コンピレーション化したもの。「長尺な曲を、超絶テクニカルな演奏で、ドラマチック且つシンフォニックに聴かせる」と云う、プログレッシブ・ロックのテーゼに忠実な楽曲郡だが、73年と云う年代を考慮すると、名曲「飾り窓の出来事」なんぞは、その後のイエス『リレイヤー』やクリムゾン『太陽と戦慄』の方向性を先取りしている訳で、その先進性は恐ろしい。プログレ黎明期に平沢進はその先まで見通してしまっている。楽曲の良質さよりも、むしろ彼の予見性が浮き彫りになっているのに驚愕である。ライナー・ノーツには、当時これだけの演奏をしていたのに、ほぼ黙殺に近い扱いを受けていた事実が延々描かれており、平沢氏の恨み節炸裂である。当時は、四人囃子も東宝レコードには余り良い扱いを受けておらず、日本人に「プログレ」は理解できなかった事実が良く判る。日本では新しい芸術に理解があるなんてぇのは、嘘っぱちだ。同『Vol.2』も傑作。
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