
08年作。一噌幸弘(能管、篠笛、田楽笛、リコーダー)は、伝統的な「能楽一噌流笛方」でありながら、自称「高速アコースティック・ユニット」の「しらせ」のバンド・リーダーでもある。ローランド・カーク張りに吹きまくりの一噌の能管類に、ギター・チェロ、タブラにヴァイオリンが激しく絡んで来る。フォーカスとカーブド・エアがセッションしている様な内容で、CDショップでは邦楽やジャズのコーナーに並べられているが、この感触は紛う方無くプログレ、ですわ。ライブ盤も含め、7枚のアルバムを出しているが、一番楽曲がバラエティに富んでいるのがこれ。チャンバー・ロックの傑作『メトリエ』で幕を開け、ヴァイオリンの美しい『ヤマカガシ』、ケルト音楽風の『行の風』と続く流れが素晴らしい。その後もタブラを使ったサイケデリックな曲、祭り囃子をアレンジした和風Fiesta(祝祭日)な曲と続き、15世紀の作曲家グリエルムスの舞踏曲『バッサ・カスティーリャ』の超絶アレンジで幕を閉じる。この構成力は、演奏と同じ位凄い。新作も期待。
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