
05年作。ブライアン・イーノの音楽は、微妙だと思う。ロキシー・ミュージックの時代はさておき、世界で最初に実験的な「環境音楽(ヒーリング・ミュージック)」を提唱、以降はテクノ、トランス、ハウス等のジャンルを牽引するイノベーターとして、常に実験作を発表し続け、恐らくメジャー・シーンでは一番名が売れているエレクトロニカ系ミュージシャンであろうが、この人のアルバム、旧作である程退屈で聴けない。開拓したジャンルの手法が広く一般的になってしまう為で、第一人者の宿命、などとおべんちゃらを言うつもりは無い。ただ作る作品に、永続性が無いだけである。これは05年に発表されたアンビエント・ボーカル・アルバムで、28年ぶりにイーノが歌った事が話題になったが、しかしこれは意外と良い(^_^;)。殆ど実験的な試みをせず、哀愁系のポップ・チューンが並ぶ。国内で云うと高橋幸宏の作品が近いかも知れない。音楽に「実験」と云う派手な表看板は実は必要なく、単純に歌詞の良さ、メロディの良さが最後に残るのではないか、そんな事を感じさせてくれる一作。
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