
14年作。英パイロットは『マジック』のヒットを持つポップ・バンドだが、何故かメンバーは矢鱈とプログレ系のバイトに縁がある。特にアラン・パーソンズ・プロジェクトには、プロデューサーだった関係からかほぼ全員が何らかの形で参加しており、ここからキャメルやリック・ウェイクマン等の人脈に広がって行くんである。さて、そのパイロットの新作は関係性の深いAPPの再録音集。APPは実質、夭折したエリック・ウルフソンの色が濃いバンドであり、その意味では少し遅れて来たウルフソンの追悼盤、と解したほうが解りやすいかも知れない。演奏は流石にベテラン・バンド、シングル・ヒットしたヴォーカル曲を中心に巧みに自分たちの個性を織り交ぜ、安定して聴ける出来になっている。生前のウルフソンにもAPPの曲だけを歌ったソロ・アルバムはあったが、残念ながら自主制作盤に近いためプロデュース・ワークが非常にチープ、現代の耳では余りお勧め出来ないアルバムになってしまっているので、APPのカヴァーではこちらが決定版と言えるかも。何かボブ・ディランとPPMみたいだ。
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