残酷!音楽怪獣プログレ    忍者ブログ

残酷!音楽怪獣プログレ

しがないプログレ好きで、よく中古盤を漁っています。ときどきライブなんぞにも行っておりやす。

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ブライアン・ウィルソン「スマイル」


04年作。もしもこの作品がビーチ・ボーイズ名義で66年に発表されていたら、確実に変化していた事が三つある。一つ、70年代を待たず、「コンセプト・アルバム」の傑作がアメリカより現れていたので、その後のフロイド・クリムゾン・EL&P等の英国プログレ陣の勢力図が、かなりアメリカ陣営の作品に依って変わっていた可能性。(特にテーマが被る『狂気』はヤバい(^_^;))二つ、同じ様に「アメリカの暗部」を描いた作品、例えばイーグルスの『ホテル・カリフォルニア』、レッド・ホット・チリ・ペッパーズの『カリフォルニケイション』辺りは、先人に倣いよりコンセプト・アルバム、プログレッシブ・ロック化していた可能性。そして三つ目は、ブライアンがビーチ・ボーイズから離れ、後年のフロイドとロジャー・ウォーターズの様な関係になっていた可能性がある。
勿論歴史はそう云う訳には進まず、以降のビーチ・ボーイズは、「良質のサマー・ソングを提供するポップ・バンド」と「アメリカの暗部を描く思索的ロック・バンド」の二つの顔が矛盾なく同居する、不思議なバンドになって行く。まぁ、そこが面白いのだけど・・・。
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ジャイルズ、ジャイルズ&フリップ「ザ・ブロンズベリー・テープス」


68年作。クレージーキャッツの名曲「新五万節」、アレ、曲間で谷啓さんがいきなり持ちネタの、「♫ガチョーン」「♫びろ~ん」「♫ムヒョーン」と叫びだす所があり、何度聴いてもそこで吹いてしまう(^_^;)。ところが『コンプリート・シングルス』に所謂別テイクが入ってるのだが、これが何故か面白くない(;_;)。全く同じ事をやっているのに。タイミングとか勢いの問題とか、色々理屈を付ける事は出来るが後付けに過ぎず、結局「コレはこういうモノだから」としか言い様が無いのである。
このCDは前述のアルバムとクリムゾン誕生までの間のデモ・テイクを収録した、云わば発掘盤。イアン・マクドナルド(Vo,Fl)、恋人のジュディ・ダイブル(Vo)も加盟し、「風に語りて」や、初期ライブの定番曲「ドロップ・イン」(「レターズ」の原曲)も演っている。しかし、それでもクリムゾンではないのである。質感が決定的に違う。これは上手く説明出来ず、やはり「こういうモノだから」としか言い様が無い。この辺りが分析出来ない所に、クリムゾン・ミュージックの正体があると思うのだが・・・・。♫演ったライブが5万回~♫

ジャイルズ、ジャイルズ&フリップ「ザ・チアフル・インサニティ・オブ・ジャイルズ・ジャイルズ&フリップ」


68年作。「いったい何処をどうしたら、これがクリムゾンになるんだよぉ~(^_^;)」と云うのが一般的な見解だろう。
牧歌的な英国のフォーク・ソングで、上品かつユーモラスに田舎の生活が綴られていく。これが数ヶ月経たない内に♫デーンデラダンダッダーン♫になる訳で、ギズモにご飯を上げたらグレムリンになっちゃったどころか、ゴジラになって街を全壊させちゃいました、位の衝撃度である。ピート・シンフィールド他の後続参加メンバーの影響も無論あろうが、到底予測の範囲内ではない。『セロ弾きのゴーシュ』みたいに、ネズミや仔狸相手に練習でもさせて貰ったのかね。フリップ自身ですら、芸術の女神が一度だけ微笑んだ云々としか分析できないこの変化は、人智を超えたDeityが藝術を変え得る事の顕現となっており、まず内容よりもそこに感動すべき代物である。驚異せよ。

マンドレイク「アンリリースド・マテリアル Vol.1」


06年発売だが、録音は73年~78年前後のもの。元P-MODELの平沢進は、70年台前半に伝説のプログレ・バンド、マンドレイクを主催していたが、活動中に公式盤を1枚も発表する事なく終わっている。このCDはその頃のデモ・テープ、隠し撮りのライブ音源を発掘し、コンピレーション化したもの。「長尺な曲を、超絶テクニカルな演奏で、ドラマチック且つシンフォニックに聴かせる」と云う、プログレッシブ・ロックのテーゼに忠実な楽曲郡だが、73年と云う年代を考慮すると、名曲「飾り窓の出来事」なんぞは、その後のイエス『リレイヤー』やクリムゾン『太陽と戦慄』の方向性を先取りしている訳で、その先進性は恐ろしい。プログレ黎明期に平沢進はその先まで見通してしまっている。楽曲の良質さよりも、むしろ彼の予見性が浮き彫りになっているのに驚愕である。ライナー・ノーツには、当時これだけの演奏をしていたのに、ほぼ黙殺に近い扱いを受けていた事実が延々描かれており、平沢氏の恨み節炸裂である。当時は、四人囃子も東宝レコードには余り良い扱いを受けておらず、日本人に「プログレ」は理解できなかった事実が良く判る。日本では新しい芸術に理解があるなんてぇのは、嘘っぱちだ。同『Vol.2』も傑作。

四人囃子「一触即発」


74年作。もしも国内のバンドで1枚だけ「本格派のプログレ」を挙げろ、と言われたら、躊躇無くこのアルバムを挙げるだろう。リリカルな抒情性の「空と雲」、フロイド指数が一番高い「おまつり」、そしてフロイドとEL&Pと吉田拓郎が一緒になった様な脅威的大作「一触即発」。エディ・ジョブソンのソロより10年位早い「ピンポン玉の嘆き」、今ならイエスが(ナイスの方の)アメリカを演奏した様なシングルの「空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ」も入ってる。『狂気』や『危機』、『タルカス』を聴かないでプログレは語れない様に、古典的傑作、必須科目、最重要プロダクトである。ところで色々調べている内に、つボイノリオ「金太の大冒険」のバックが四人囃子であった事が判明した。工エエェェ(´д`)ェェエエ工ええええ☆彡(;_;)。

ゾンビーズ「オデッセイ&オラクル」


68年作。名曲「二人のシーズン」を配した、ゾンビーズのセカンドにしてラスト・アルバム(その後復活)。そして「サージャント・ペパーズ~」「ペット・サウンズ」に匹敵する、60年代コンセプト・アルバムの大傑作。にも関わらず、制作当時はバンド・メンバーも、レコード会社も、マネージメントさえもその価値が判っていなかった、と云うのが何となくおかしい。ロッド・アージェント(Key)やコリン・ブランストーン(Vo)のインタビューを読むと、ファーストがシングルの寄せ集めだったから、LPってこんなものかなぁ、てな感じで1曲1曲を関連付けて、おっかなびっくりみんなで仲良く作って見ました、みたいな雰囲気だったらしい。「スマイル」の完成度を上げる為、精神まで病んでしまったブライアン・ウイルソンとはエラい違いである。ほんで出して見たけどモノの見事に売れない、あ~あ、仕方ないや解散解散。ところが解散後に「二人のシーズン」が何故かAMラジオで大ヒット、みんな改めてLPも買ってその完成度に二度驚愕(*_*)・・・かくしてゾンビーズは(80年代に再結成するまで)伝説となった。芸術の女神の微笑は、時と場所を選ばないのですなぁ。

ザ・ドアーズ「ハートに火をつけて」


67年作。F・コッポラ監督の映画「地獄の黙示録」は未だに賛否両論あるが、あれ、「ジ・エンド」の壮大なプロモーション・ビデオと考えれば納得行きませんか。「原子心母」とか「展覧会の絵」とかで、長いなが~い中間部を耐え忍ぶと、ラストで再び同じフレーズが出て来る、あの快感。30分か3時間かの違いだけですよ。最も、「ジ・エンド」の構造は、一部のイタリアン・プログレに影響を与えてはいるが、更に最近の音楽であるシューゲイザーやガレージ・パンク辺りの方にリスペクトされているような気がしますが・・・。スティーブン・キングの小説に、在郷軍人会のおっさんが「ベトナムっつーとドアーズを演奏させるのを止めろ!そんなん戦地では誰も聴いてなかったぞ!」とブチ切れる台詞が出て来るが、本当の所はどうだったんでしょうかね。The Horror、The Horror・・・・。

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