90年作。25年作のサイレント映画『オペラの怪人』は再三音楽を新たに付けられてビデオ化、DVD化されているが、ウエイクマンも89年に約90分のBGMを付ける仕事をしている。その音楽を整理し、歌を付け、アルバムにしたものがこれ。現在はPhantom Of The Operaだが、最初の発売時のタイトルはPhantom Power。アシュレイ・ホルト、クリッシー・ハモンド、ラモーン・メレディオス等、当時のソロで付き合いの有った常連ボーカルが勢揃い、80年代風のポップ・ロックを展開している。ウェイクマン、格好もそれっぽいからどうせなら自分が怪人で主演すれば良いのに。もっとも曲を盗んだら殺されそうなのは、どっちかと言うとキース・エマーソンの方ですが。因みに日本ではビデオ時代に、難波弘之も同じ仕事にチャレンジ。興味の有る人は日米キーボード対決、聴き比べて見ると良いでしょう。
79年作。プログレでは無いが、関連作として。ゴブリンがサントラを担当した映画の中で、一番の異色作がこの恋愛映画の『抱いて(Amo Non Amo)』。殺人鬼もゾンビも出て来ません。結構ドロドロした映画なので、女性が一番怖い、と言えなくもないけど。つーか、何でこんなのゴブリンに発注したのか。LP時にはB面が「サスペリア」「ゾンビ」等のベスト・アルバムと化して、印象は破茶目茶。CD化でようやく未収録曲が追加されて、単体アルバムとなった。さて、『パトリック』等、イタリア公開時にブライアン・メイの音楽を無理矢理ゴブリンに変えられた映画はあるが、この映画は逆に、アメリカ公開時に音楽をバート・バカラックに変更されている。ポール・アンカやマイケル・マクドナルドの歌モノが入り、非常に真っ当な恋愛映画のサントラになっている。何でこっちの芸風にしなかったのかなぁ。未DVD化だが、商品化の際には、ゴブリン版とバカラック版の2IN1で出して欲しいと思う。