14年作。仏シンフォニック・プログの大物、アトールは御多分にもれず現在二つのバンドに分裂している。一つはクリスチャン・ベヤ(ḡ)を中心としたクリス・ベヤ・アトール。過去にアトール名義で来日済。もう一つは今年のアンドレ・ヴァルチェー(Vo)、ジョエル・ジュアン(Key)を中心としたアンドレ・ヴァルチェー・アトール。今年(15年)のヨーロピアン・ロック・フェスに来日するのはアンドレ・ヴァルチェーの方。まだスタジオ盤もライブ盤も発表されていないアンドレ側の実力は未知数だが、ベヤ側のアトールの欠点はバンドとして「プログレ」を演奏出来る程の実力が無い事。前回の来日は『ライブ・イン・ジャパン』として製品化されているが、そこで聴ける演奏はかなり劣化したものである。ベヤは初期のリック・ウェイクマン同様、座長が目立たないと気が済まない人なのか。このスタジオ盤は仏ムゼアから発売された、イリアンと云うアバターもどきが活躍するSFコンセプト・アルバムだが、90年代以降の若手ハード・プログレバンドの様な雑然とした作品で、とても大アトールの名を冠する作品とは思えない。ベヤのソロ作品(まぁ、実質そうなんだが)と思えば許せるレベル。何かアンドレ側の演奏も心になってきたぞ・・・刮目して待て、ユーロ・ロック・フェス?!