80年作。なのだが、ちょっと発売までの経緯はややこしい。これは、80年当時の「東ドイツ」で、「西ドイツ」のロック・バンドが史上初の公演を行った時の記念すべきライブ盤。何故タンジェリンだったのかは諸説あるが、シンセ・インスト・バンドなので歌詞によって政治的メッセージが歌われない、と言うのがあったかもしれない。当時タンジェリンはヴァージン・レーベルの所属だったが、このアルバムは未発売。ところが東ドイツ国内で「海賊盤」のLPが出回り、それが西側に流れ、しかもタンジェリンの他のスタジオ盤よりも「売れる」と言う珍事態。慌ててヴァージンも発売しようとしたが、音源の権利関係が複雑で、発売後回収。結局、ベルリンの壁崩壊後に何故かアリスタから発売された。現在ではCDは他のリマスター盤と同様、エソテリック社から流通している。内容は「クイチェット パート1」と「同パート2」から構成されているが、LPの収録時間の関係でF/O処理をしているだけで、実質47分の長尺物。インプロビゼーションも含め、気合の入った演奏を繰り広げている。歴史的意義が無しでも、質の高い作品。
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