どこからどこまでのジャンルがプログレなのか、と云う定義は意外にもムズかしい。
70年代のものはある程度分かり易いのだが、それ以降はポンプ、シンフォニック・メタル、アヴァン・ロック、テクノ、果てはフュージョンや民族音楽にまで人材が拡散し、きりがない。
シンフォニー性を求めてファドやブルガリアン・コーラスを聞いたり、ケルト音楽を愛好している人も少なくない筈だ。
なんせiTunesのSymphonic Rockの1位が、MUSEである時代なのだ。
「ジャンルの境界線を取り払い、新しい音楽を作る」のがプログレッシブたる理念であったならば、その理念は2012年の現在、十分に達せられたと言っても良いが、その反面、世界は拡散し、皆が手に取ることが容易ではなくなっている。
そんなら今のプログレッシブって何よ、と云う一つのサンプルが、このアルバム。
2009年デビューのイタリアのバンドで、何だ、ただのメロディック・ロックじゃないの、と言われそうだが、メンバーは「プログレ」だと言っているし、長尺の曲やメロトロンを多用しなくても、この質感は確かに「あの」音楽である。
今の時代、音楽の正体が見えなくても畏れることはない。
ただ進み続ければ良いのだ、と言われているようである。お薦め。2NDが早く出ないかなぁ。