96年発売だが、録音は80年代前後と思われる。イエスの初代ギタリスト、ピーター・バンクスはイエスを解雇後、プログレ・バンド「フラッシュ」を結成、3枚のアルバムを発表、また在籍中にヤン・アッカーマンやフィル・コリンズ、ジョン・ウェットン等のサポートを得てソロ作「トゥー・サイド・オブ・ピーター・バンクス」を完成させ、高い評価を得る。しかし、バンクスの快進撃もここまで。アメリカ進出を狙い、女性ボーカルを配した「エンパイア」でデモを作成するが、悉くボツにされ、レコード会社とのディールを締結せずに終わる。
このデモ・テープは90年代に、倒産したワン・ウェイ・レーベルより、発掘盤として3枚に分けて発売。この「エンパイア」マークⅠ~マークⅢまでメンバーの変遷があり、音楽性もソウルフルだったりディスコっぽかったり、目まぐるしい。言い換えれば、売れ線狙いで3度も路線変更したのに、NGだった訳である。プログ・ファンに一切アピールしない音楽性の為、中古でも投げ売りされているが、何故かマークⅡだけ殆ど見かけない。イエス関連でも、トップ・クラスのレア盤となっている。まぁ、聴いても大した事ないと思うけどね。